トウガンのカリウムが血糖値を下げる
トウガンは利尿作用が強いトウガンは、熱帯アジアやインドを原産地とする野菜で、日本に渡米したのは10世紀といわれています。
現在でも、トウガンを使った料理は健在です。
その薬効や古くから知られ、漢方薬としてダイエットや糖尿病の改善に用いられてきました。
トウガンに最も期待できる健康効果は、トウガンに含まれるカリウムの働きによる利尿作用です。
また、カリウムには高血圧の原因となるナトリウムを体外に排出させる働きもあるため、血圧をコントロールしやすくなります。
医学博士の岩本光存欣氏が、トウガンから抽出したトウガンエキスを用いて次のような実験を行いました。
境界糖尿病(空腹時血糖値が110~125mg/dlで、糖尿病になる寸前の状態)の三人に了解を得てから、錠剤のトウガンエキスを1日3回、1回につき4錠を毎日継続的に飲んでもらいました。
この三人は、薬物治療と食事療法を受けていましたが、なかなか体重が減らず血糖値も下がらない状態でした。
しかし、実験開始から1~2週間たつと、全員の体重が減り始めたのです。
180mg/dl → 110mg/dl
150mg/dl → 130mg/dl
170mg/dl → 110mg/dl
トウガンを取り始めてから12週間で、3人全員70~20mg/dl下がりました。
また、血糖値のコントロールが出来ているかを判断するヘモグロビン検査でも
6.1% → 5.3%
5.8% → 5.2%
5.8% → 5.0%
と全員の数値が正常になりました。
そして、実験が終わった後も、三人の患者はトウガンを取り続け、平均3キロの減量に成功して軽肥満が解消されたので、全員が糖尿病をまぬがれることができたのです。
3人に話を聞いたところ、トウガンエキスを飲み始めてからは、食事療法で感じていた空腹感や飢餓感がなくなり、治療を続けることが楽になったと言うことでした。
これは、トウガンのサポニンという成分の作用です。
余分な中性脂肪を分解するサポニンには油を分解して、水に溶けやすくする性質があるので、体内に取り込まれたサポニンは、体内の余分な油である中性脂肪を分解して、血液の中に放出します。
この血液が脳に流れると、脳の満腹中枢が「今は栄養が行き届いているので、ご飯を食べる必要がありません」というサインだと感じます。
すると、脳から空腹感を示す指令が発信されなくなるので、お腹がすいたと感じなくなります。その結果、無理なく食事の量を減らすことが出来るようになるわけです。
このサポニンの効果は、糖尿病のラットにトウガンエキスを与え、血液中の脂肪の量をはかる実験でも確認されています。
トウガンの基本的な食べ方
トウガンは煮物にしたり、味噌汁の具にしたり、さまざまな調理法で食べる事ができます。健康効果を得るためには、1日300~500グラム食べれば十分ですが、一度に食べられない人は、食事の時に数回にわけて食べると良いでしょう。
また、煮汁にも栄養成分が溶け出しているので、残さず飲むようにしましょう。
トウガンの旬は夏で、9月頃までは八百屋やスーパーなどで入手することができます。
産地によって形に違いがあり、丸型や楕円形ものがありますが、味や薬効には変わりはありません。
色があざやかで持った時ずっしりと重く感じるものを選びましょう。
トウガンには種にも薬効があり、漢方では利尿作用を持つ生薬として使われています。
より強い効果を期待する人は、種茶を作りあわせて飲む事をおすすめします。