車中泊 「三瓶山登山」と出雲の旅(2014.5.24〜26)   1

 

八汐滝・八塩滝
滝尻の滝 
5月21日夜から28日まで旅に出る予定だった。

 予定は、22日の昼14時に久能山東照宮、美保の松原、箱根、富士五湖、八ヶ岳山麓、軽井沢、美ヶ原そして最終目的地は、郡上八幡。その後はひたすら自宅に向けて走る予定だった。
 2,300kmを1週間で走る予定だった。箱根まで870km(9時間余りの走行と川西で7時間仮眠)。
 郡上八幡から自宅まで650km(7時間余り)残り780kmを5日間で走れば、1日160kmは無理な距離でない。と思って計画した。
 甲府ではビジネスホテル。松本は駅前。上高地はアルペンホテル、あとは車中泊(道の駅かSA)。立ち寄り湯・・・。
 乗鞍岳へのアタック(可能か?)と、いった具合だった。が、計画はあっけなく頓挫。
 原因は、色々あったが、妻の「アンタは、計画するのが好きだもんね」の一言で涙。グッスン!!
 妻は得意げに「月・火と休みを取ったから、どこか行こう。準備と計画をしてね」と、簡単に命じる。俺は「ハイ」と返事をするしかない。
 「イヤ」とでも言えば家庭内に「寒冷低気圧」が急速に発達し、節分でもないのに鬼がでる。 
 
 土曜日、「昼間からビールを飲まないで、準備しとけ」と出勤していった。

 車中泊の用意は、車に積載してあるが、ごちゃごちゃした準備があった。
 三瓶山の登山だけを計画し、後は成り行きで巡る旅にした。
 夕刻、妻の帰宅を待って山陰の旅に出た。
 まず、目的地は三瓶山の西の原駐車場である。ところが、出発前に色々あって1時間遅れて、スタートした。よって途中で計画を変更した。
 俺の車のナビは松江道路の雲南吉田ICが出てこないので、セットしないで走る。
 雲南吉田でインターを出てしばらく「道なりに」走行し、とある地点でナビに「道の駅 掛合」と入力。
 動き始めると、数mも走らないうちに、ナビが「リルートします」を数回叫ぶが、聞いても訳が分からん。
 気が付けば田部家土蔵群前を走っていた。
 TVで見たことのある土蔵だった。
 適当に走っていると、ナビが正常にルート指示を始めたので指示されるままに走る。
 国道54号線を走行中にスーパー発見。
 食料と人間用燃料を購入し、道の駅「掛合の里」に到着する。
 「ハンドル・テーブル」と「ワイフ用テーブル(新装備)」で晩餐会を開催する。
 道の駅に「袖ヶ浦」ナンバーの軽ワンボックスのご夫妻を発見する。
 車中泊の準備をされていた。
 風が心地よいので、簡易椅子を持ち出して、妻が止めるのを無視して、グビグビと飲み続ける。
 翌朝(日曜日)5時に起床し5時半に道の駅を出発。
 「袖ヶ浦さん」は、朝食の準備中。

「八重の滝」
 道の駅から国道54号線を15km程南下し、「八重の滝」の看板を左折し八重の滝に向かう。
 青春時代の出雲から広島へ。結婚後広島から山陰へと、54号線を二十回以上走ったが、八重の滝を見たことがない。
 今日は、三瓶山の縦走と車中泊だけの予定だから、時間の余裕はある。
 「日本の滝百選」の「龍頭・八重滝」に立ち寄る。
 国道から枝道へ分岐し直ぐに、猿飛滝(車窓観光)を見て、駐車場に車を入れる。国道から1Km位。
 駐車場の案内板によると、駐車場より八汐・八塩滝まで片道1,100mとなっている。
 渓流沿いの道を進み、橋を渡っていると轟音を聞く。妻が「滝が見えた」というので引きかえす。
 踏み跡を数十m進み、河原に降りて見学する。滝尻滝は落差15mの豪快な滝で、上部にチェックストーンがあり、その下から豪快に落ちている。
 もう一度橋に帰り巻道を進むと滝尻滝の上部に出た。
 滝尻滝の上部に、紅葉滝、河鹿滝、姥滝、姫滝と高さが無い渓流瀑で、遊歩道から見る。
 主滝は最上部の八汐滝・八塩滝で落差40mの段瀑である。
 前方に轟音と水しぶきの八汐・八塩滝が豪快な姿を現した。
 豊かな自然林と一体となり美しい渓谷景観を作り出していた。
 ISO感度、シャッタースピード、絞り、迷カメラマンは試行錯誤。三脚は車の中。手持ちでブレないよう気を使う。
 朝の大自然の中で佇む二人の姿は・・・・伊豆の踊子(天城越え)の吉永小百合と高橋英樹。山口百恵と三浦友和か。感激の妻を促し駐車場に引き返す。
 「竜頭八重滝県立自然公園」は、雲南市掛合町松笠の滝谷川の「龍頭が滝」一帯の山域及び「八重滝」一帯の山域からなっている。
 「竜頭滝」と「八重滝」で「日本の滝百選」だが、「竜頭滝」には立ち寄っていない。
 八重滝の北西約5.5kmに龍頭があり、国道54号線の西側、滝谷川に懸かる落差40mの直瀑である。
 八重の滝を後に、54号線を6Kmほど進み、三瓶山への交差点を右折する。
 雪対策のトンネルをくぐり、県道40号線を東の原方向に走る。車窓越しに見る三瓶頂上付近は雲がかかっていた。
 志学温泉(三瓶温泉)分岐から県道30号線を4Km進み、西の原、定めの松レストハウス前に駐車した。
 
 西の原 定めの松から本峰「男三瓶」
三瓶山の登山
 西の原から見る山頂は高雲に変わっている。
 登山靴に履き替え、ザックを担ぐと草原を歩く。
 クロスカントリーコースそして針葉樹の樹林帯の道と分け入っていく。
 姫逃姫方面の遊歩道の分岐、扇沢から室ノ内コースと男三瓶山頂への分岐を男三瓶に進む。
 針葉樹林のジクザッグ道を600m程一気に登る。
 西の原からの登山道は朝日が当たらないため、気持ちがいい。
 道は岩場や木の根が無く歩きやすいが急斜面の樹林帯。
 三瓶を歩くのに登山用ナビは必要ないが、ガーミンに成れるため携行している。
 現在地をガーミン(登山用ナビ)で知ることが出来、標高何m付近も判る。
 ナビの登山道の表示から数mも違わない地点を進んでいる。
 標高900m付近の視界が開けた地点で休憩する。
 俺は直ぐにザックを降ろして、食糧を取り出し、妻にすすめる。
 俺って優しいだろう。本音は「早くザックを軽くしたい」
 眼下に浮布池や三瓶高原の水田が綺麗に見える。
 1050m付近からなだらかな山頂台地を歩く。
 ススキが同じ方向に倒れている。
 南東方向からの風が吹いているようだ。
 山頂の標柱付近に数名の登山者が見えた。
 今日は島根半島の峰々や出雲ドームは見ることが出来なかった。
 山頂から少し下った地点に、新しい避難小屋が建っている。
 避難小屋の中は数名が宿泊できる板場。
 長椅子に土間。積雪時には、外から梯子を登り中に入れる。
 残念ながらトイレがない。もちろん水場もない。
 避難小屋前通過して女三瓶への道を下る。
 男三瓶、女三瓶、孫三瓶、子三瓶に囲まれた噴火口を右手に見ながら歩く。
 樹林帯の急な岩の坂を下り、犬戻し、ユートピア、兜山を通過して女三瓶のTV施設の横にある展望台にて昼食をとる。
 俺が撮影している間に、妻は直ぐに自分のザックから昼食用のパン等を出す。
 休憩の時は私のザックのバナナ饅頭だった。
 お互いにザックを軽くしようとしのぎをけずる。
 大平山に下る道で、咲き誇る花を写す。「タニウツギ」だろうか。
 ピンクが可愛い。
 大平山には弁当を広げている家族があった。
 男三瓶の頂で二人の写真を撮ってもらった、三人連れの登山者と稜線を前後しながら歩いたが、俺達より早く、子三瓶と孫三瓶の鞍部から下った駐車場にいた。
 三瓶温泉近くには、駐車場が少なく、彼らは国民宿舎「さんべ荘」と「さひめ野」近くの駐車場を利用したのだった。
 西の原駐車場に帰り着くと、広い草原を利用したグランドゴルフの大会だろうか、楽しそうにゴルフに興じている老若(老?)男女数十人。
 トイレの洗面所で顔を洗うと口の中に塩の汗が流れ込む。
 車で移動するためビールは飲めない。売店に行く妻に、ペプシを頼んだが、無くて自販機のコカコーラを買ってきた。
 コカコーラは咽喉が焼付くので嫌いだ。 
 
 男三瓶の登山道から「浮布の池」を見る
 
 女三瓶から男三瓶の見る
 三瓶山について少し勉強しよう。「ここテストにでるよ」

 三瓶山は島根県のほぼ中央部にそびえ、白山(大山)火山帯の山です。日本二百名山らしい。
 白山火山帯は、加賀の白山を東縁として山陰地方を経て九州に至る火山帯で、白山・大山・三瓶山・雲仙岳などを含める大火山帯です。
 三瓶山はこれまで休火山であったが、平成15年の活火山の定義の見直しで活火山に指定された。
 三瓶山は主峰・男三瓶(1126m)、女三瓶(957m)、太平山(854m)、孫三瓶(907m)、子三瓶(961m)などの峰が、室の内と呼ばれる火口を囲んで環状に配列している。
 室の内火口には、室の内池と呼ばれる火口湖がある。
 室の内池は、10万年前から始まった三瓶山の火山活動(7回の活動期)の最後の爆発によりできた噴火口に、雨水や地下水が溜まった火口原湖で、水の出入する川はなく水位は大きく変わらない。
 広さは1.15ヘクタール、水深:1.4m、池水のPH:5.2で、池には放流されたコイが泳いでいるが、エサが少ないためか頭だけ大きいコイだそうだ。
 PH5以下になると下水では流せない程の危険な水だ。
 火口はこのほかに奥の湯火口(日影山と孫三瓶山に囲まれた)があり、ここに三瓶温泉の泉源がある。
 県道30号線の橋の上から源泉の小屋が見える。
 三瓶山は、火山活動によって形成された山で、溶岩円頂丘である。
 麓には周囲約3・5キロ、深さは最深部約3・5メートルで、地質学的には約4千年前、噴火で生じた火砕流などによって谷がせき止められた浮布池がある。
 北の原には姫逃池(くぼ地に湧き水でできた池)があり、カキツバタの浮島があり風向きにより場所を変える池がある。
 北の原には大きなキャンプ場があり、全国植樹祭の前に造られた。というより、造った。(誰がって、俺が造ったんだ。)
 出雲に居た当時、キャンプ場の建設に狩り出され、道を造り、松林の中にテント場を造った。
 その時の松は直径10センチ程だったが、あれから40年素晴らしい林になっていた。
 北麓の、三瓶町多根小豆原地区には、約4000年前の火山活動で埋積された巨木群が存在し、「三瓶小豆原埋没林」として国の天然記念物に指定されている。
 石見国と出雲国の国境に位置する三瓶山は、『出雲国風土記』が伝える「国引き神話」に登場する。
 国引き神話では、三瓶山は国を引き寄せた綱をつなぎ止めた杭とされている。
 『出雲国風土記』では、三瓶山は「佐比売山(さひめやま)」の名で記されている。「佐比売」の名は、昭和29年に大田市に合併するまでの地名「佐比売村」として残っていた。
 
 女三瓶から「孫三瓶(左)」と「子三瓶」
 
 室の内池と呼ばれる火口湖
 
 タニウツギ ?
三瓶山一周し、道の駅「キララ多伎」に向かう

 北の原キャンプ場、東の原スキー場と時計回りに西の原に帰り、浮布池を見て、今夜の目的地「道の駅キララ多伎」に向かう。
 浮布池の池ノ原地区で、ナビをセットして、指示されたままに素直に走る。
 池ノ原地区〜県道30号線〜県道を離れて池田小前から小屋原手前を左に入り、山道を登りそして下り、交差点を右に進む。
 稚児大橋下流の橋をダム方向に、県道56号線の交差点〜三瓶ダム東側の三瓶町野城の交差点を北上、長谷からの三叉路を右に〜道原〜半明の富山局前を330°切り替えして県道286号線、筆印堂〜土居〜〜城蓮簡易局前の国道9号線に出た。
 友人の奥様の出身地を走る。烏賊を釣って食べた刺身の味は忘れらない。
 また、声をかけてね。生姜を持っていくから。
 このコースを走りながら、ナビはすごい。でも、途中で案内中止になったら、対向車がきたらどうするかと、不安になりつつ走った。
 時には、田の畦道を走らせることがあり、どうなっているんだ。責任者出てこい。
 先日(この旅の2週間後四国の高松で)自転車も走れない道を案内され、鋭角の交差点で「ガリ」の音「やっちまった」。
 国土建設省出てこい。ナビが誘導できるような道路をつくれ。俺、税金を少し払っているんだ。
 9号線を出雲に向かい走ると、左の車窓には日本海の青い海。右にJR山陰本線の小さな駅「小田駅」を過ぎると直ぐに、「キララ多伎」の看板。
 
 
三瓶山行程表
 
 「道の駅 キララ多伎」の夜

 駐車位置を決める。今夜も若干お酒が入るため、慎重に位置を決めて、絶対に車は動かさんぞ。
 海が見えて、トイレに近い位置を選定する。
 夕食は「キララ」内の「海鮮」か「ラーメン店・海」かと悩む。時間はある。
 土産物を物色し酒の肴を決める。車内に酒は十分にあるが目についたのが、竹下酒造の「出雲の誉」である。
 「純米酒【DAIGO】」を、俺の土産にと購入する。
 
 DAIGOがロックポーズラベルで決めていた。

 蔵元竹下家十二代当主 竹下登(第74代内閣総理大臣)の孫息子DAIGOラベル。
 「ゆる燗して お飲みいただければ、ガチに楽しめ うぃっしゅ!」
 米本来のうまみが熟成され、穏やかで清涼な香りと、ゆたかで広がりのある味わいに、淡い黄金色がふくらみのある爽やかな飲み口に仕上がっていた。PR誌より
 DAIGOは、日本のシンガーソングライター、ミュージシャン、アイドル、タレント、俳優であり、ロックバンドのボーカルである。

多伎といったらイチジクだろう
 キララは、日本海を背に、お城のように建つメルヘンチックな道の駅で、“夕日が見える道の駅”としても知られているが、今日は悪い雲が出て、夕焼けが期待できないが三脚を広げて待つ。
 キララは、屋台感覚で楽しむご当地グルメのイートインコーナーに、縁結びスポット、おみやげ物に、レストランなどや、近くには、コテージや名湯「多伎いちじく温泉」もあるらしい。
 ブランドの「多伎産イチジク」で、「イチジク」を使ったジャム、パイ、カレー、姿煮など“づくし”な、お土産があった。シーズンになれば、イチジクの果肉が新鮮なまま並ぶだろう。
 「多伎産イチジク」の特徴は、イチジクのその品種にあり。全国でも珍しい蓬莱柿(ほうらいし)で、その実は、皮が薄く、プチプチとして、何よりバツグンの糖度が決め手らしい。
 妻が、道の駅「掛谷の里」で一緒だった、「袖ヶ浦」のご夫妻が歩いていると教えてくれる。
 駐車場を見ると「袖ヶ浦」ナンバーが見えた。
 無知・無学・無口で無駄飯のアホーな俺は、「NHKのあまちゃの舞台、袖ヶ浦海岸か?」という。
 妻は、俺に向かって「(Y)a hoo」と口パク。
 
暴風雨の夜

 時計を見ると、真夜中の2時半。前夜から降り始めた雨は風を呼び、重たい俺たち乗せたプレマシーを揺らしている。
 トイレにも「行きたくない」と、喚きたいくらいの暴風雨だ。
 今日は帰宅する日なので、社内で整理をする。
 寝袋をたたみ、エアーマットや照明器具などを整理・収納する。カーテンを固定し、出発準備完了。コクピット座る。
 キララ多伎の駐車場を半周し、再度「袖ヶ浦」ナンバーを確認し、キララを後にする。
 国道9号線を走行し、神西(じんざい)湖から出雲大社に向かう。 
 
島根の旅 Aへ続く
 旧JR大社駅          
 出雲風土記の舞台「黄泉の国の入り口(猪目洞窟)」
 古刹「鰐淵寺(がくえんじ)」  
 鉄と山林王の村「吉田村」