今回は空気中のイオンの話です。「マイナスイオンが体にいい」なんて話を聞いたことはありませんか。都会ではプラスイオンが多く、森林や海辺ではマイナスイオンが多いことが知られています。滝壷の側に立つと、なんとも言えぬ壮快感がありますよね。これもマイナスイオンの効果です。人はマイナスイオンを求めて森林浴に出かけます。
自然界では水滴が機械的効果によって分裂するとき、まわりの空気中にマイナスイオンが発生します。これをレナード効果(滝効果)と呼びます。水のイオン解離によるものですが、賢明な読者は「じゃあ、解離のもう一方のプラスイオンはどこ行った」と考えられる事でしょう。ご心配無く、プラスイオンは分裂した水滴の中に閉じこめられています。
人工的にマイナスイオンを発生させる方法は何でしょう。一般的に行われているのはコロナ放電による方法です。電極間に高電圧をかけて放電させ、その電荷により空気を帯電させる方法です。この方法には重大な欠点があります。それは、大量のオゾンや窒素酸化物が発生してしまうことです。これが人体に有害であることは言うまでもありません。
では、自然界で起きるようなメカニズムで、マイナスイオンを発生させる方法は無いか、という考えにたどり着きます。前回「エア・ワッシャー空調機を小さくしたもの」という説明をしました。読者の中にはエア・ワッシャー自体、ご存知無い若い方も多いかとは思いますので簡単に説明しますと、エア・ワッシャーは空気と水を直接接触させることにより、空気の調温、調湿を行います。冷水を噴霧すれば除湿する事も可能です。ただエア・ワッシャーには水滴を分裂させるメカニズムはありません。ですからもう一工夫必要です。
わが家のフレッシュ・エンジェルは、高速で空気を旋回させる円筒と、その中で水を噴霧するノズル、分裂した水滴を除去するサイクロン、それらを駆動するブロア、ポンプで構成されています。円筒内で水滴は衝突、分裂を繰り返し、その過程で除塵、脱臭を行います。また大量のマイナスイオンがここで生成されます。ここをくぐり抜けた空気は、後段のサイクロン式気水分離器で余分な水滴が除去され、ごく微細な水滴(その大きさは0.01ミクロンとも言われます)を含む飽和空気で供給されます。この空気は室内で再び塵埃、細菌、ウイルス、匂いの粒子等を除去しつつ室内を循環します。従ってわが家はまるでクリーンルームの様相を呈しているわけです。
マイナスイオンのもたらす医学的効果には次のようなものがあります。・血液浄化作用
・細胞の賦活作用
・抵抗力の増加
・自律神経の調整作用
・呼吸器疾患の治療効果疼痛が和らいだという報告もなされています。
こういった特性から、食品関連の製造、保存、解凍にも用いられて大きな効果を挙げているようです。
次回はこのシステムの応用についてお話しましょう。
参考文献医療界レポート 1 990/11/19 医療タイムス社
真気技術 Vol1.1No.2 清水惠己 ジオクト