クリーム


10時

お母さんに、
「10時まで遊びに出てはいけませんよ」
と言われて、
何とかその約束を守りきったクリームは
楽しくてたまらないと言った感じで家を飛び出した

最高のお天気
お空は真っ青で晴れ渡っている早春の一日
片手には紙袋
チーズと一緒に
小さな丘を越え、野原を通り過ぎ
下り坂と上り坂をいくつか通って
今度はお花畑を通り過ぎ
遠回りに遠回り
約束の時間はまだまだ先
早咲きの黄色いタンポポを見つけて
一輪摘んでリボンの間に挟んでおいた

目指す先はテイルスの工房

二人は笑いながら
やっとそこへ続く道に進んだ




「テイルスさーん!ワタシデス!テイルスさーん!!」

扉をたたきながら問いかけるけれど返事はない
確かに約束したのにおかしいデスねと
チーズと一緒に
悩みに悩んで
ようやく
決意したかのように扉を開けた

「入りマスよー?」

そっと部屋を見渡すと、
大きな機械に囲まれた真ん中に
いつもいるテイルスの姿がなくて
戸惑っていると
チーズが隣の部屋に進んでいった

テイルスは
その部屋の隅に置かれていたソファの上で
ぐっすり眠りこけていた
机の上には
テイルスの大好きなミントキャンディーと
クリームが行くたびにいつも出してくれる
大きなフルーツケーキが一切れ
手をつけずに置いてあった












「ああっ!寝過ごしたあっ!!!」
テイルスが目を覚ましたのは午後の3時
約束の時間はとっくに過ぎている
思わず跳ね起きたテイルスは
上に毛布がかかっているのに気が付いた
もしやと思って机を見ると
紙袋がひとつと
見慣れた筆跡で書かれた
名前のないメモ
そして
クリームのために出しておいたフルーツケーキはなくなっていた
思わず笑いながらメモを見ると
驚くと同時に赤くなってしまった


あんまりおいしそうだったので
机の上のケーキを食べてしまいまシタ
紙袋はバレンタインのチョコデス!
ところで
テイルスさんは本命チョコって知ってマスか?











2/15/2007
バレンタインデー
次はクリーム
ラブラブです(笑)
この後クリームはみんなにもチョコを配りに行きました



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