へたうま見聞録:「W杯徒然(4):激闘!アイルランド」      
      その6:「W杯徒然(4):激闘!アイルランド」
     


 開幕直前に、アイルランドチームは危機を迎えていた。主将のロイ・キーンが監督と衝突し代表から追放されたのである。だが、アイルランドは逆境に非常に強い。

 アイルランドの不屈の魂を目のあたりにしたのは、一次リーグの対ドイツ戦、そして決勝トーナメントの対スペイン戦だろう。
 最後の最後まで希望を捨てず、獲物を追う狩人の目でゴールを狙う。同じ戦略で何度も何度も挑む。勝利の女神はそんな彼らを見捨てない。それが、ドイツのカーンから奪った1点であり、スペインに土壇場で追いついた1点だろう。どちらも35歳・195センチのベテラン選手ナイル・クインと、21歳・176センチの新星ロビー・キーンのコンビが絡んで得た得点だった。ロビー・キーンにとって、あこがれの選手クインと一緒に闘い得点する喜びはどれほどのものか。

 延長に突入した対スペイン戦は、交代枠を使い切っていたスペイン選手の故障で、11人対10人と優位に立った。これでかえって隙が出来たのか、アイルランドの強固なまとまりが、かすかに崩れたように見えた。ゴールデンゴールが決められず、PK戦へ。アイルランドもスペインもPKが中々決められない。スペインのメンディエタが最後のPKを決め、アイルランドは散った。
 故郷からはるばるかけつけた緑のいかついおじさんサポーターたちも、選手たちと一緒に苦しみ喜び悲しみにくれ、死力を尽くした選手たちの健闘をたたえた。いいチームだよな、アイルランド。あんな目をしたチームは他にない。あれがケルト魂なのだろうか。

 故郷に帰った選手たちを、大勢の国民が大歓迎した。

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 (2002/7/21)

(C) HETAUMA HONPO 2002


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