アズーリはイタリア語で「青」という意味で、イタリアチームのカラーからイタリア代表のことをいうのだそうだ。この他にも青に身を包んだサッカー強豪国は多い。活躍を期待された彼らが、まさか、こんな悲劇的な散り方をするとは..... 開幕直前に司令塔ジダンを故障で失い、初戦の対セネガル戦でまさかの敗北を喫した前回優勝国フランス。対ウルグアイ戦では、勝たねばならない試合なのに、アンリの一発退場で窮地に追い込まれる。10人対11人の不利の中でも、フランスは守りに入らず攻撃を果敢に仕掛け勝利を狙った。次々と繰り出される技と勝利への闘志あふれるプレイ。それでも勝利の女神は微笑まない。ドローとなり、2点差で勝利を収めないと一次リーグ敗退という対スウェーデン戦を迎える。ついに、故障を押して出場したジダン。フランスの期待を一身に集めたが、いざというときに体がついていけず、ピッチに倒れ伏した。ジダンに頼りすぎたフランスに、対ウルグアイ戦で見せた闘志は見えなかった。 強豪国の多い一次リーグ「死のF組」。優勝候補と言われながら、因縁の対イングランド戦に敗れ絶対絶命のアルゼンチン。対スウェーデン戦で、怒涛の攻めを続けながら最後の1点が入らず、一次リーグ突破ができなかった。がっくりとピッチに倒れこみ、まるで子供のように泣きじゃくる選手たち。抱きかかえられながら去っていく選手もいる。試合後のインタビューで、バティステゥータが「これがサッカーだ」と気丈に語っていても、目は宙を泳いでいる。母国は経済危機の中で、彼らの勝利が国民を勇気付ける。そう信じていたのに。 イケメンスターを多く抱えるイタリア。伊達男たちの華麗なるプレイがこの目で見られるのを、とても楽しみにしていた。初戦の対エクアドル戦こそ華麗な技が出ていたが、対クロアチア戦では逆転負け。既にフランス・アルゼンチンの敗退を見た後の対メキシコ戦は1点を先行されてしまい、このままアズーリも...という嫌なムードが漂った。不振のトッティに替わったデルピエロがきっちりと仕事をこなし同点へ。そして、同時に行われていたエクアドル=クロアチア戦でクロアチアが敗れた。アズーリの決勝トーナメント進出は確保された。大喜びした彼らの姿に、これから無残な敗北が訪れようと、誰が予想できただろうか。 韓国は強かった。それは一次リーグの戦い方を見ても分かる。1点は決してセーフティリードではない。「誤審」問題は一次リーグからあちこちで起こっていたし、大地を揺るがす「テーハミング」の大歓声が巻き起こすパワーも、韓国の小細工しない勝利に突進する試合姿勢も分かっていたはずだ。だからこそ追加点を取らなければならなかった。 早々に守りに入ったアズーリは、韓国の圧倒的な攻撃に崩れ落ちていった。 頂点を知っている男たち。彼らは、それ故に敗れ去ったのかも知れない。 何かがおかしいと違和感を感じながらも、プライドをかなぐり捨てて勝利に立ち向かい、ズタズタになりながら壮絶に散っていった。それは、確かに惨めな敗北だったが、その姿は人の心を打つものがあった。 W杯徒然(1)へ | W杯徒然(3)へ (2002/7/21) (C) HETAUMA HONPO 2002
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