赤い荒野の果て、無数の剣が墓標のように並び立つ丘で。
こちらに背を向けた赤い弓兵。
今も脳裏に鮮やかに浮かぶエミヤシロウの完成型の一つ。
「ついてこれるか?」
……もう無理かもしれません。





Fate after SS   交差点から空を見よう 〜俺と私の見た風景〜 1−2





 とりあえず、いったん夕食にすることになった。遠坂の手による中華風雑炊、サラダ、乾物を使ったスープ、冷凍のシーフードを使った甘酢炒め。手早さを重視した割には手が込んでいる。くそう、中華はやっぱり遠坂の独壇場か。で、食後のお茶をしながら調査再開。
「とりあえず言っておくけど……これから先、アンタのことは"志保"って呼ぶわよ。"シロウ"って呼ぶ時は向こう側のアンタの事を聞くときだけ。どのみち、その体は"志保"の体なんだから」
 独特の香りの中国茶の香りを楽しみながらの遠坂の台詞。言ってることは分かる。分かるんだが、
「それはいいけど……口調とかそういうのはどうしたらいい? 癖とかそういうのもあるだろう? だいたい、俺ってそんなに器用じゃないぞ」
 少なくとも衛宮士郎に演技力は期待しないで欲しい。しかも女役なんか絶対無理だ。……体はオンナノコなんだけどさ。
「うーん……ま、口調は今のままでもいいでしょ。志保はよく喋るほうでもないし。ああ、でも一人称を"私"に出来ない?」
「……"私"かぁ。努力はするけど絶対"俺"って言っちゃうと思うぞ」
「ま、心構えだけでいいわ。そこまで期待はしないから」
 軽く肩を竦める遠坂。そして、
「後、悪いんだけど……わたしのことは凛って呼んでもらえる? 志保に姓の方で呼ばれるのははっきり言ってあまり愉快じゃないから」
 などと言いやがりました。
「ああ、確かに。そういえばさっきからシホはリンのことを"遠坂"と姓の方で呼んでましたね」
 お茶請けの月餅を摘みながら口を挟むセイバー。いや、だから。
「いや、待て、ちょっと待ってくれ。そういわれても遠坂は遠坂だろ。俺はずっと遠坂って呼んでいたし今更名前のほうで呼べと呼ばれても困る」
 呼びたくないかと問われれば名前で呼びたいのはやまやまだけど、間違いなく照れる。どうしようもなく照れる。というか、今だって顔真っ赤になってるはずだぞ、俺。しかしそんな俺の台詞に不機嫌そうになる遠坂。
「あのねぇ、衛宮志保は遠坂凛にとって大切な親友なの。私は親友にそんな他人行儀な呼ばれ方をしたくないわ」
「いや、親友だからってお前!」
「それとも何? "士郎"にとって遠坂凛はそんなにどうでもいい存在なの?」
「ど、どうでも良いわけあるかぁ、どうでも良くないから照れるんだろうがぁ!」
 がぉーっと叫ぶ俺。ってなんかやばいこと口走ったような。えーっと、遠坂さん、何ですかその勝ち誇ったようににやけた笑みは?
「あらー、衛宮士郎くんは照れてるんだー? 何で照れているのかなー?」
「ぐ……」
「衛宮士郎はー。遠坂凛に対してー、照れる理由があるのかなー?」
 くそう、なんて良い笑顔をしてやがりますか、このあくま。……いいさ、遠坂。毒を食らわば皿まで。こっちのダメージも計り知れないけど反撃させてもらおう。
「……衛宮士郎が遠坂凛に照れるのは当然だろ。遠坂はずっと憧れてたし……」
 言葉を切ってお茶を一口。心臓がバクバクと脈打ってるよ。目の前にはびっくりした顔の遠坂。ぅぅ、やっぱり可愛いなぁ、こいつ。驚いている遠坂の顔を見て少し落ち着いた。よし、覚悟を決めて爆弾投下。
「……自分の彼女の名前を呼ぶのに照れずにはいられないに決まってるだろ」
 おお、瞬時に顔が朱にそまったぞ。林檎みたいだな、遠坂。……俺もおんなじ顔色なんだろうなぁ。脇でハムハムコクコクと月餅を摘まんでたセイバーも手を止めて、ものすごく面白いものを見るように俺たちを眺めている。うん、多分面白いんだろう、当事者でさえなければ。俺はとりあえずお茶をテーブルから避難させ、セイバーにもアイコンタクト。すばやく月餅と自分のお茶を避難させるセイバー。
「な! な! なななな! 何ですってーーーーーーーーーーーーーーー!」
 バシン! とテーブルに両手を叩きつける遠坂。やっぱり爆発したか……。





 時間にして約三十分ほど。ようやく遠坂は俺の、向こうの俺と遠坂が聖杯戦争後に付き合っていることの説明を受け入れたようだ。「いいわよ、どうせ別のわたしのことなんだから」などと拗ねたように呟いていたのは気のせいだろう、うん。
「ま、いいけど。ともかく今のアンタは志保なんだから、わたしのことは凛と呼ぶこと!」
「いや、でもさ……」
 ほら、あれだ。向こうの遠坂に対してすらそう呼んでないのにとか適当に言い訳を考えてみる。そんな俺に遠坂は右手を伸ばして、
「……衛宮士郎! 自分の! 彼女くらい! 名前で! 呼べるように! なりなさい!」
 頬をつねってぶんぶんと上下に振りながら言うのはどうだろう。しかもかなり力が入っている。痛いぞ。
「……分かった、努力する」
「分かればいいのよ、分かれば……まったく、貴方の"遠坂凛"はさぞ苦労してるんでしょうね」
 俺の答えに、手を離して呆れた風な遠坂。 
「そうだな、遠さ……いや、凛には何時も感謝している。凛が居なかったら衛宮士郎は多分まっすぐ進めない」
 うう、照れくさい。頬が火照っているのがはっきり分かる。……でもちょっと嬉しいかも。ああ、きっとそれは実際には俺が遠坂のことを名前で呼びたかったってことなんだろうな。そんな俺の様子に満足そうな遠坂。
「とにかく、話をもどすわ。この話題をこれ以上続けると泥沼に陥りそうだし」
 スチャリ、とどこからともなく取り出した眼鏡をかける遠坂。
「まず、今の状況。わたし達――わたしとセイバーが知っている"志保"が、自分はさっきまで男で"士郎"という名前だ、と言い出した、と。最初は志保の精神が変質したのかと思ったんだけど、記憶の混濁や精神汚染の兆候は見られなかったわ。アンタは"衛宮士郎"として確固として自己を確立している。多重人格って線も考えたけど……違うわね。志保が他の人格を持つならアンタみたいな近すぎる存在を作るとは思えない。まったくの別人と考えた方が収まりがいいわね」
「ああ、そうだな。なにせ俺には"衛宮志保"としての記憶が欠片もない。あるのは男として生きてきた"衛宮士郎"の記憶だけだ」
「でもアンタの今の体は"衛宮志保"のものなのよね……」
 口元に手を当てて考え込む遠坂。
「とりあえず、アンタが目覚める前の記憶を教えて? こっちの状況と照らし合わせましょ」
「うーん、とは言っても、俺はそんなに分かってないぞ。実験の手伝いに遠坂に呼び出されて……確か地下室で……儀礼魔術の準備中に光に包まれて……気がついたら遠坂の部屋だった」
 俺の話を聞いて段々と難しい顔になる遠坂と、冷ややかに遠坂を見るセイバー。
「えっと、遠さ……凛、なにか分かったのか?」
 俺はどう見ても様子のおかしい二人に問いかけてみた。その言葉に遠坂は眼を泳がせて、
「え? あ、ううん、なんでもないの」
 と、胸の前で小さく手を振った。
「なんでもないわけないでしょう、リン。状況がまったく一緒だ」
 そんな遠坂に対して冷ややかな声でつっこみを入れるセイバー。
「つまり……どういうことなんだ?」
「こちらで起こったこととほぼ同様です。シホが魔術陣のチェックをしている最中にリンが"うっかり"魔術を起動。中途半端に起動した魔術に引きずられるようにシホが倒れてしまった……」
「あー、つまり……」
 遠坂さん、あなたのせいなのですね? ジロリと遠坂を睨む。
「う、わ、悪かったわよ! まさかすっ転んだ先に起動用のバイパスが張ってあると思わなかったんだから! そ、そんなことより、そっちは何の実験だったか覚えてる?」
 俺とセイバーの視線にたじろぎつつも話を進める遠坂。
「……ハァ、過ぎたことだから良いけどさ。確か何かの観測実験とか言ってたぞ」
「……多重次元相違観測実験?」
「そう、それ」
 確かそんな名前だった。うん。
「アンタねぇ、仮にも自分が手伝う実験の内容くらい把握しておきなさい!」
「いや、説明はされたんだけど……」
「分からなかった……と」
 うん、そう。脱線しまくってた説明だったし、遠坂興奮しまくってたし。
「なんでもアインツベルンの城で発見した資料と照らし合わせたら遠坂の実験計画が補完されたとかなんとか言ってたぞ」
「ええ、その辺はまったく一緒ね。でも志保は実験内容理解できてたのに、なんで貴方は分かってないのよ? というか、なんで分かってないのに参加させられたの?」
「えーっと、遠坂の魔力の予備タンク役兼雑用……かなぁ」
 セイバーの食事準備とかそういうの。そんな俺の台詞の一部に気を取られた遠坂が聞き返してきた。
「予備タンク?」
「ああ、俺と遠坂はラインが繋が、ムガッ」
 一瞬で遠坂に口を塞がれた。顔を真っ赤にした遠坂の目が『ソレイジョウ言ッタラ殺ス』と言っている。ようするに、ラインを繋ぐ How to に関して気が付いたらしい。それはともかく。 
「と、ともかく! 一応の予測は立ったわ」
「ムグ」
「要するに、実験の暴走で志保の精神が予定されていた観測点に到達。そのままなら普通に復帰できたところが別次元でのまったく同じ実験の暴走でとばされた士郎とすれ違う。……もともと同じ存在の別の可能性だったため、すれ違ってしまったお互いはより近い肉体の方に引っ張られてしまい入れ替わって復帰してしまう……まぁ、仮説なんだけど実験内容を考えると……一番可能性が高いと思うわ」
「ムグムグ」
「志保の多重人格化なんかよりよっぽど納得できるしね」
「ムー……」
「ということで、仮説を元に実験内容と暴走内容……ん、何、セイバー?」
「……リン、そろそろ手を放したほうが良いと思う。シホが落ちかけている」
「あ、あら」

「まぁ、仮説は分かった。で、戻せるのか?」
 川の向こうで手招きしていた親父を振り切って現実に戻ってきた俺。『本当は女の子が欲しかったんだよね』なんて嬉しそうな顔で親指立ててやがりました。……俺の妄想だよな、これ?
「……すぐには無理ね。とりあえずは仮説を元に実験内容と暴走内容を洗い流すわ。……大師父と連絡が付けば早いんだけど……」
「む」
「まぁ、貴方の方の"遠坂凛"も動いているでしょ。……でも心配ね」
「なにがさ?」
「つまりね。仮説が正しいならここに"衛宮士郎"が居るということは?」
「ああ、なるほど。"シホ"があちらに居る、ということですね」
 ポン、と手を打ち鳴らすセイバー。
「いや、あっちの遠坂も十分しっかりしてる。セイバーも居るし大丈夫だろ」
「あー、いや。そういうんじゃなくてね……」
 俺の答えに二人して顔を見合わせる遠坂とセイバー。
「その……シロウ。シホは……少々男嫌いの気が……」
……ああ、それは確かに心配だ。俺の体は男だし。





その後、俺たちは状況の相違をすり合わせることにした。俺の性別以外に違いは無さそうだったのでとりあえず関係者の性別を確認していく。
「桜は?」「女の子」「藤村先生?」「一応女だったな」「柳洞君は?」「男」「綾子?」「女」……
「ふーん、なんか貴方の性別以外は一緒みたいね」
「ああ、そうだな」
 ここでちょっと気になることが出来た。ここでの俺が女の子ということは……。
「そういえばアイツは? アーチャーは女だったのか?」
 未来の俺の可能性。英霊エミヤ。この世界の衛宮志保が女の子であるなら、英霊エミヤは女であるはず。
「え! 貴方のところはアイツ、女だったの?」
「いや、男だった、けど……こっちでも男だったのか?」
「ええ、赤い外套を着た白髪のでしょ?」
 どういうことだろう?
「白黒の二刀を使っていて、皮肉家だったか?」
「? そうね。でも結局、アイツってどこの英霊だったのかしらね。自分ではイレギュラーな召還だって言ってたけど」
「遠坂はアイツが誰なのかしらないのか!?」
「知らないわよ……セイバーは分かる?」
「いいえ、彼がどこの英霊なのかは結局分からずじまいでした。彼は私のことを知っているようでしたが……」
 なるほど、確かにイレギュラーな召還だったのだろう。
「――相違があったぞ、遠坂」
 そう、決定的に違っているのは。
「どうやら俺の過ごした聖杯戦争とここの聖杯戦争は別の動きをしている」
「凛と呼べって言ってるでしょう? で、どういうこと志保?」
「うん、俺の方の聖杯戦争なら、凛とセイバーはアーチャーの正体を知っている。もちろん俺も。そしてアイツはこっちだと女じゃないとおかしいはずだ」
 俺の説明に困惑気味の遠坂。
「……『女じゃないとおかしい』って……何それ? そんなおかしな事がそうそうあるわけ無いじゃない。――いえ、違うわね」
 何かを理解した遠坂が俺の顔をのぞき込んだ。
「アイツは言ったわ。『イレギュラーな召還だった』って、『私が本来在るべき世界じゃない』って。並行世界からの召還。でも、それだけじゃ説明がつかない」
「……あいつは過去の英霊じゃなくて、これから先に至るであろう英霊なんだ……遠坂には知る権利が有る。一応アイツのマスターだったんだし……だよな?」
「え、ええ。最初は私がマスターだったわ。最終戦でセイバーの宝具を使うために志保とサーヴァントを入れ替えた、んだけど……」
「うわ、アイツ、一時とはいえ俺のサーヴァントだったのか。よく殺されなかったな、俺」
 それとも、アイツにとって"志保"は殺すべき対象にはならなかったのか。
「で、シホ。結局アーチャーは何者だったのです?」
 興味津々のセイバー。予想がついているせいか暗い瞳の遠坂。
「……遠坂は分かったみたいだな」
「……『女じゃないとおかしい』んでしょ。でもさっきの問答ではこっちとそっちで性別が入れ替わっていたのは……一人だけ」
 そう、性別が入れ替わっているというふざけた状況なのは……俺だけだ。
「ああ、アーチャーの真名はエミヤシロウ。英霊エミヤだよ。アレは自身の理想を目指した"衛宮士郎"がたどり着いた果てのカタチ」
 今の俺がはたしてアイツにたどり着くのかどうかは分からない。道はすでに分かたれ……それでも俺は俺の理想を張っていく。――筈だったんだけれど、今の状況はナニカチガウ。
「……そう、だから『女じゃないとおかしい』わけね」
「ああ、この世界の衛宮志保が女の子である限り、その果てであるアーチャーが女でないとおかしいだろ?」
 ソファーの背に体を預け、宙を仰ぎ見る遠坂。そして深く息を吐き出した。
「でもまぁ、納得したわ。アイツ、初めて志保と会ってからなーんかおかしかったもの」
「初めてあったとき……ですか?」
 と尋ねるセイバー。そういえば、セイバーは志保に召還されたことになるんだよな。
「そそ、昼の学校でね。なんかアイツ、混乱してたっていうか、困惑してたっていうか……ね」
「へー、アイツがねぇ。それは見たかったな」
 うん、見たかった。アイツのそんな姿ならぜひ見たい。
「まぁこれについては私たちが考えても仕様がないわ。で、結局、そっちの聖杯戦争はどう終わったのかしら?」
「ん、ああ。勝利者は遠坂だ。聖杯はセイバーの宝具で破壊された」
「金ピカは? あれはやっぱりアーチャーが倒したの? こっちだとアイツは志保とアーチャーの受け持ちだったんだけど」
 金ピカって……やっぱりこっちでも金ピカなのか。
「いや、アイツは俺が倒した」
「「……は?」」
 む、見事なハモりだな。遠坂もセイバーも愕然と俺を見ている。なんでさ。
「いや、俺の方ではアーチャーは俺を助けてアイツにやられた。で、俺はその後、遠坂に魔力を借りてギルガメッシュを倒したんだ」
「嘘……だってあれって英霊よ? セイバーだって勝てなかったのよ? いくら魔力を借りてきても志保のへっぽこが勝てるわけないじゃない」
 遠坂の台詞にセイバーが反応する。
「リン、私だって負けたわけではありません。あの時は……」
「とにかく、普通は人間が英霊になんて勝てないでしょ! 仮にも英霊よ」
 ああ、打ちひしがれてるよ、セイバー。でも確かに、普通の人間が英霊に勝てるはずはない。けれどもまあ。
「そうなんだけど、アイツだけは別。アイツは衛宮士郎と決定的に相性が悪かっただけ」
「強化と投影だけで? どうやったのよ、いったい」
 全く納得しない遠坂。……ん、待てよ?
「あーっと、凛? "衛宮志保"が使える魔術って、強化と投影だけなのか?」
「? ええ、そうよ。貴方は違うの?」
 なるほど、それでか。
「……衛宮志保がどうかは分からない。けど、衛宮士郎と英霊エミヤの魔術は本来、強化や投影じゃない。それは本来の魔術から零れ落ちたものにすぎない。今の俺だとまだ届かないけど。英霊エミヤの本来の魔術は……」
 死んでも他の魔術師には隠匿せよ、との遠坂の厳命。でもまぁ、相手も遠坂だ。嘘をつくわけにはいかない。
「『固有結界・無限の剣製』。それが衛宮士郎がたどり着く本来の魔術なんだ」

「……ハァ、貴方ね。軽々しくそれを口にすると冗談抜きで殺されるわよ? 分かってて言ってる?」
 緊迫した数分間の静寂の後、強張った表情をほぐして口を開いた遠坂。思いっきりあきれた顔をしている。
「ああ、遠坂には散々言われた。でもさ、今回は遠坂相手だし。それに、もし"衛宮志保"も到達するのなら遠坂は知っておいたほうがいいと思う」
「まぁ、そうなんだけどね。でも納得できるわ。……多分志保も到達すると思う。行き着く先が固有結界ならあのでたらめな投影も納得出来るわ」
「そう、か……」
 こっちの遠坂も見たのだろう。あの、等価交換の原理から外れてしまった"俺"の投影を。
「……さて、時間も時間だし。そろそろ行きましょうか」
 数分の沈黙の後、ちらりと時計を見た遠坂がいきなり話題を変えた。
「……行くってどこへ?」
「衛宮邸。今日からアンタの家に泊まるから」
「なんでさ?」
「あのね、貴方、自分の状況分かってる? 女の子になってるのよ。フォローとか考えると私とかセイバーが居たほうが良いでしょう? 何が起こってもおかしくないんだし」
「む、それはそうだけど……」
「資料とか持っていくから手伝ってね」
「ああ、分かった」
 まぁ、正直助かるし。
「あ、それと志保」
「んー?」
 そして遠坂はこれでもかってくらいの笑みで、
「向こうに着いたらお風呂入って下着も替えなさいね」
 ……前言撤回。面白がってやがります。






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