我が家の車中泊の考え方

( 2011年 )

 車中泊をお考えの方に、少しでも参考になればと、書いてみました。

 車中泊の旅の利点は、思い立った時に出発し、宿の予約もせず、到着・出発が自由にできて、景色の良い所で寝起きし、食事が出来る。また安価に宿泊が出来る点にあります。交通機関に束縛されないで、自由気ままな旅ができますが、反面欠点もあります。
 しかし、欠点を楽しむ心の広さ(大きさ)がある人には、最適な旅になるでしょう。山登りはその最たるもので、年々中高年に広がるのは、その大きさに、自分を置いて楽しむ心の広さでしょう。
 自由きままな旅は、ツアー等のお仕着せの旅でなく、小さなお宮に参ったり、自由にコースを変更したり、思わぬ絶景を眺めたり、自分だけの旅を計画し、到着・出発時間は自分達で、思い付きで回れる自由さにあります。
 最近 高速道路のSA等に、ミニバン等の車中に寝ながら旅をする方を、よく見かけるようになりました。
 小さな子供達との若い夫婦や、中高年のご夫妻も見かけますし、一人旅の女性もいます。
 寝る前には数台だった車が、朝には十数台になっている時もあります。自由に動けるため、到着時間を自分なりに考えて行動している方なのでしょう。
 そんな旅を楽しむために、皆さんは、大なり小なり工夫をしておられます。ある駐車場で、通りすがりに車内を見ると、軽自動車のワンボックスカーの中には、畳一枚引いてあり、コンテナが数個。布団が一組のようです。窓には竹竿を利用したカーテンがありました。
コンテナの中には、着替えやコンロ、鍋などが入っているのでしょう。このような改善なら数万円もかからないでしょう。古い畳を活用すると、ほとんどタダ同然で準備できます。布団や鍋釜食器を自宅から持ち出せば、良いのです。
 道の駅「奥熊野古道ほんぐう」で見かけた方は、朝一番に卓上コンロで炊飯され、大きなおにぎりを作っておられた。美味しい具材を握っておられた。その傍には年配のご夫妻が、屋根に取り付けられていたBSアンテナを格納して居られた。どちらもほほえましい旅のスタイルでした。
 
 車中泊は旅のルールに反している等の批判はあるだろうが、我が家では平成3年5月から20年以上実行している。(キャンプを主体とした旅行)
 雲仙普賢岳が噴火したのが平成2年11月17日。その翌年5月の連休に、我が家は、鹿児島に出かけた。広島を15時頃出発し、高速道路をひた走り、人吉インターで高速道路を降り(「人吉~えびの」間は開通していなかった)、熊本県と鹿児島県との県境近くの集落の自販機で缶ビールを購入(22:50)し、近くの山中に入り、道路脇で23時過ぎにテントを張った。
翌朝、5時前にJRのえびの駅で喫茶店を探し、モーニングを食べようとしたが、無人駅のさびしい駅前だった。その日は霧島連山や桜島を見学し、垂水の簡保の宿に泊まった。
 翌朝車には降灰が1cmほど積もっていたので水を撒いたら、ウインドワイパーが動かなくなった。水を使用せず箒で掃き落とすのが正しいことを知った。
 鹿屋から志布志湾、ロケット基地を見学し、指宿に渡り池田湖等を見学し、鹿児島市の造成団地の空き地にテントを張り寝た。(子供が小学生であり、日産サニーの2ドアでは親子3人では寝れないため、テント泊)翌日は鹿児島市内の観光後、13時に鹿児島を出発し、えびのIC手前で大渋滞に巻き込まれ、人吉に移動予定を水俣市に変更し、八代で高速に乗って、24時前後に着く予定が翌朝7時に広島の自宅に帰った。
 そんな旅を繰り返しているうちに、我が家の理想の旅を考えた。
 金曜日の夕方に旅に出る。朝になってから高速を降りる。出来たら、日曜日の夜に高速に乗って仮眠をとって、月曜日は近くの観光地を巡って帰る。土・日に家にいることの嫌いな俺は、土日を入れて3日以上の休みがあると、家に居たくない病に罹ってしまう。

 子離れした私達の車中泊の旅は、ファミリアのショートワゴンに乗ってやっていました。
 長崎の雲仙から平戸、唐津3泊4日の旅。霧島から日南海岸、桜島、指宿の3泊4日の旅。阿蘇から由布院、耶馬渓の旅、山口の日本海側等を行った。
ファミリアでは運転席に寝たが、4WDの為フルフラットが出来ない、普通のシートのために寝返りが出来ず、足が下がったままで熟睡感がありません。長時間腰が折れ曲がった状態は、年を取ると辛いものがあり、エコノミー症候群を警戒して、車両の購入を考ました。
 某国営企業を定年退職し、マツダの関連企業に再就職した関係で、マツダの車種を念頭に置きながら、ホンダ、トヨタ、日産等の各店舗を回りました。
車の選定条件は、
①  荷室が、就寝時に完全フラット(真平ら)に(2・3列目)。
②  私が寝転んで充分な長さと、二人が寝れる余裕のある広さ。(寝返りで邪魔をしないこと)
③  就寝時に、旅の荷物が全て社内に格納できる。
④  価格は、180万円以下。  
等の条件で検討し、マツダのミニバン「プレマシー」に決めた。
プレマシーは、2・3列目をフラットにすると、170センチのフラットな寝床(荷物置き場)が出来、運転席を少し前に移動すると190センチ近くの長さが作れ、幅は149センチである。171センチの私が寝ても頭や足が延ばせて寝ることが出来る。162センチの妻と並んで寝ても肩が触れない充分の広さがあります。
 そして、車両の価格は、社員価格の優遇が受けられ、ファミリアーを下取りに出し、景気対策の補助金10万円、エコのため減税がある等の恩恵があるのも良かった。
  
後部ドアを開けた状態 
左側にコンテナ 運転席側はそのまま(170センチ)一列目を少し前に、
コンテナボックスを入れた。
190センチのフラットな広さを作れた。 


 これまでに、プレマシーでの車中泊の旅は、
九州の熊本から高千穂・豊後竹田、臼杵から別府の旅
琵琶湖の大津から安土、彦根、福井、三方5湖、天橋立、伊根、鳥取への旅
四国剣山の登山と祖谷渓谷、別子銅山(東洋のマチュピチュ)の旅
四国宇和島から佐田岬、砥部焼き釜出し市の旅
八代市から天草、熊本市内、阿蘇、日田へ。
高知から宇和島へ。
伊勢市から熊野、白浜への旅等である。

 車中泊の為に少し改善しました。
Ⅰ 2・3列目の間に、小型のコンテナBOXを2個を購入し、着替え類を入れた袋を空間に埋めた。
Ⅱ 3列目のタイヤハウスの段を利用して、桐の合成材で120センチ×80センチの棚を作成した。就寝時に不要な椅子や机等を乗せることが出来る。
  Ⅲ 床にエアーマットを敷いたり、封筒型の寝袋を引いて寝る。
    布団の代用として、冬山用の寝袋(―15℃まで対応できる)を購入しました。
Ⅳ 車内での照明は、大自工業のバッテリーを購入し、蛍光灯や扇風機を使用できる。
Ⅴ インバーターを購入し500Wまでの交流電源が使用できる。(難点エンジンを回す必要がある。)
Ⅵ ノートパソコンも可能で、デジカメの画像の保存やカメラの充電も可能
Ⅶ 走行中はシガーソケットから、就寝時はバッテリーから携帯電話が充電出来る。
  Ⅷ 運転席での食事用のテーブルは、ハンドルを利用し、ベニヤでテーブルを作成
Ⅸ 助手席側には、折りたたみ机を利用し、食事が出来る。(車外でも使用できる。)
等、金を掛けないで、それなりに改善しながら、車中泊の快適性を整えて行くことは結構楽しい。
 貧乏な小市民の私達が、キャンピングカーの様に、トイレやキッチン、常設の寝台など大きな金額を掛けることは出来ません。還暦を過ぎた年齢や車の耐用年数を考慮しても、10年余りが限界だろう。余分にお金を掛けるなら、より沢山の旅をしたほうが良いと考える。

   
 タイヤハウスを利用し棚を作成
幅120センチ 深さ80センチ
深さは少し大きめでも可能
扇風機はUSB型と通常型の2台
桐材の角にはクッションを取り付け
前後に移動しないようにカップフォルダーを利用
車検、7名乗車時は取り外し可能 

 7月に、3泊4日で1200キロの旅をしましたが、食事(アルコールを含む)代、入園料、高速道(土日千円)、ガソリンそして妻の大好きな土産等を購入して7万円弱だった。食事はスーパーで購入し、酒を買い飲み、妻と話、イビキを遠慮せずにして一人1日9,000円である。

 昔、むかし、私は登山に熱を上げていた。地図を眺めては、毛虫のような模様を探し、岩壁を攀じていた。一人でテントを張り、凍った山小屋に一人で寝たり、吹雪の夜に雪原で寝た。ブナ林の中の雪洞で寝た。
 だから 今でも自然の中で寝ることが好きだ。ところが妻は、地面に寝ることを極端に嫌いで、テントの中より車の中を好む。スキーは好きだが、寒いのは嫌いである。
冬になると、旅が億劫になる女房様を外に引っ張り出したい。
 北海道の帯広にいた時は、自宅から30分程の所にスキー場があった。
家族でスキーに行った。子供も3歳から冬服をがっちり着込ませ一緒に遊んだ。広島に引っ越すと子供にスキーを買い与え、家族で滑った。一人でリフトに乗れるようになると、10回分の券を与えると2時間もしないうちに雪原で遊んでいる。
小学校1年生だから大人の中をチョロチョロ動き回り、並んでいる大人を追い越していく。そして、直滑降に近い滑りだから、直ぐに券がなくなってしまう。
息子と二人でスキー場の裏手に回りこんで、雪原にテントを張り、夜間スキーや早朝に滑った。俺一人の時は、運転席にて寝袋に納まり駐車場に泊まったり、車の走らないような農道にて夜を過ごして滑った。
 だから、息子が成人してからは、遊び相手がいないので、愚妻を引っ張り出して遊びたい。
 
 車中泊では、道の駅、高速のサービスエリア等、無人駅の駐車場、大きな神社の駐車場などに宿泊します。
 宿泊場所での確認事項は、
  Ⅰ 駐車場が施錠されないこと。
  Ⅱ トイレが(綺麗で)あり、水道が使用できる。
  Ⅲ 治安がよさそうな所(暴走族による落書き、タイヤ痕が無いこと)
  Ⅳ 適当に民家と離れていること。
  Ⅴ 道の駅等で日帰り温泉があれば、汗を流し快適な一夜になります。
  Ⅵ 大雨が降っているときは、屋根のある駐車場がいいです。(車の乗り降りや車に当たる雨音に配慮し。)
  Ⅶ 駐在さんに通報されないこと。(話し声やドアの開け閉め、エンジン音等に注意する。)
  Ⅷ 30分(できれば10分)以内にスーパーかコンビニがあること。  等です。
 高速道のSAはトイレがとても綺麗で、ウオシュレットになっていますし、場所によっては、シャワー設備のある所もあります。(一区間だけ乗って宿泊に利用する。但し保冷車のトラックには要注意)

   
 運転席のテーブル 助手席のテーブル
取り外し簡単にしています。
後部から見た棚
車の形状に合わせたが、失敗しました。 

 旅の予定を立てると、道路マップ、旅の本やインターネットで検索し、宿泊予定地を、ほぼ決定します。
日没1時間前に予定する宿泊場所を確認します。その際、スーパーやコンビニを探しながら走ります。ガソリンスタンド等で情報収集します。
 予定場所が条件に合うようなら、出来るだけスーパー(コンビニは高い上に品数が少ない)にて買い物をします。まず、地方の名産品や珍しい惣菜等で夕食や酒の肴に成るもの、高級アルコールを選定します。缶ビール(発泡酒)を1人350㏄缶1個、地酒の高いもの(上等酒以下は避けます)。酒にするのは、夜のトイレ回数を減らすためです。
夕飯は全てスーパーやコンビニを活用し、食事は造らない(手間を掛けない)、既製品で済ませる。何故なら鍋釜、食器を洗わなければ成らないし、残飯も出ます。出来るだけゴミが出なくて手間をかけないで済ませると、お互いに楽になります。焼き肉などと思いますが、炭や網、タレや残り物、ゴミや臭いに閉口します。
 缶ビールや刺身等は、スーパーのサービス氷で保冷します。氷が無い時は、缶ビールをタオルに包んで寝具の中などに入れて置くと1時間くらいは冷たくて美味しく飲めます。
 日没前には、車外に机を出し、夕焼けを見ながら、酒宴に入ります。日没から1時間は明かりが無くても食事ができます。海に沈む太陽、遠くの灯台の明かりや漁火を見ながら。静かにお酒を飲み、妻の横顔を見るのは至福(?)の一時です。
 日が暮れると、明かりを少し離れた所に置いて、星や月を眺めて、お酒を楽しみます。そんな時に地元の名産が酒の肴になれば、思い出になります。
 車内に引き上げる時間になると、車内に荷物を入れて、食事場所の清掃をして、車内に引き上げ、パジャマに着替え、出来るだけ早く、寝るようにしています。(寝不足の防止、体力の回復、事故防止)
 翌朝は、太陽が昇ると、起床して(6・7月は結構早くなります)洗面等を済ませて、周囲を今一度見渡して、出発します。コンビニにて購入した物の残骸は、昨日購入したコンビニに立ち寄り返品します。その為、コンビニが近くの場合は、翌朝のおにぎり、パンやお茶、コーヒー等は前日には、出来るだけ購入しません。
 車の燃料は、プレマシーは満タンで700Km走れますが、半分を切ったら出来るだけ早く給油します。最近はガソリンスタンドが減って、土日は閉店する所もあります。山間部等では少しでも早く給油します。お釣りの出ないプリペイド店もあります。先に確認して入れます。

 
 3列目を倒してコンテナを入れる前
運転中は、2列目座席を通常に(片側だけでも)2列目のを広くした
雨具や登山靴が車内で着脱できる
 

 早朝に観光する所は、海や山などの景観、神社など自由に散策できる所を選定します。間違っても時間待ちをすると時間の無駄になります。また、有名な観光地や紅葉の時など混雑する場所には、近くの道の駅やSAなどに宿泊し、早朝の静かな時間に散策してしまいます。
 有名な観光地や大都会の降り口(IC)のSAやPAより、その場所から入った最初のSA等の方が車は少ないでしょう。伊勢の旅では、伊勢から離れるPAに泊まりましたが、静かな夜でした。(観光地の手前で宿泊して入るためでしょうか。)
 入浴は、スーパー銭湯等を利用し2・3泊位を車で過ごし、ビジネスホテルを利用し、安く抑えて旅行をします。昼飯は食堂等を利用し、その時に下着類をコインランドリーで済ませれば、荷物を少なくできます。
 宮崎県の青島近くの道の駅フェニックスに泊まった時は、20時頃に着いた時には暴風雨でした。屋根つきの駐車スペースが2・3台あり、その一つをお借りしました。叩きつける雨音がしなくて快適でした。しかし、翌朝は、青島に渡る橋や道はとても危険な状態で渡れなかった。次に訪れた鵜戸神宮は洞窟入り口の神主さんが、寝転んでいました。誰も来ないと安心していたのでしょう。我々が暴風雨の中を来たには驚かれていた。

 人見知りの俺たちだが、出来るだけ旅の情報を仕入れるために、ナンバープレートを見て、話しかける。
丹後半島の旅では、道の駅「伊根の舟屋」で、同県人と出会った。
駐車場脇の芝生にテーブルを出したり、東屋にて酒を飲み、朝のコーヒーを飲みながら、ゆったりと過ごし、コンクリートの生活から解放されて、そこで出会った人との旅の情報交換をすることも楽しいものです。

次は、何処に行こうかな~