4月20日残雪の大山に入った。
元谷小屋で一泊して、行者谷の道を登り5合目の上に出た。六合の小屋まで登り大休止。
北壁を眺めた。四十年前に遊んだ沢や壁を眺めていると、年齢を忘れ「今でも登れそう」と、感じてしまう。
六合の避難小屋の概観は以前と変わらないが、内部は随分と綺麗になり大事に使用して欲しい。独立峰の大山は日本海に近く、冬の厳しい天候・風雪は言語に絶するものがある。寒さや風のため弱った身体を休め、登・下る人に体力回復を与えてくれる。六合から上は森林限界を超えており風雪から逃れる場所はない。
頂上小屋で休息し、いよいよ主脈の縦走に向かい出発した。
頂上の標識で剣が峰から南壁のすばらしい景観を写すと、頂上から稜線を100m程進んだ地点にある三等三角点に触れ、いつものように標石の十字に合わせて指をなぞった。
立ち入り禁止の看板とロープを乗り越えて数歩進んだ時、後から来た登山者が「縦走するんですか」。「行けるところまで行って判断します」
北側に雪が残っている所、南壁に残っている所と見ながら進んでいく。
落ちるなら北壁側と考えながら歩く。
北は草付きはブッシュの斜面がしばらく続くが、南側は、稜線から直ぐに崩壊し落ち込んでいる。
金色に輝くオコジョかテンを見た。顔が合った瞬間に北壁側のブッシュに隠れた。
進んでいくと数十m先に崩壊の激しい所が見える。あそこは30センチ登ると10センチは崩れるだろう。4月の稜線は雪解けの水を含み崩れやすいだろう。そしてその先の斜面に5m程のフィックスがある。
そのフィックスまでたどり着けるだろうか。その登りはロープの下端までたどり着くにはこれまた足場が崩れるだろう。
無理をするような場所でない。ここは引き返すべきだと決心した。この地点で数枚の写真を撮る。
三角点まで引返しほっとした。ここまでは登山者が行き来しているし、稜線の幅も広い。
頂上の小屋を素通りして、雪面を左側に進む。所どころ木道が雪面に出ている。
頂上台地の西の端にあるに石室を見たくて、頂上台地の石室を目指して進んでいく。
大沢の崩壊を見ながら世界最大級のキャラボク(イチイの一種)の原生林の中を進んでいく。8ヘクタールもある頂上台地の雪面の散歩は、キャラボクの木を傷めないよう努めて木道の上を歩いていく。
雪の中に屋根を出している。ここから見る弓ヶ浜の景観は素晴らしいが、今まで一回も泊まったことがない。
岩室か頂上小屋に泊まり、今年か来年には、此処から夜の半島を眺めたいと思っている。
石室の近くに二つの池があり、宗教上の儀式があったらしい。
石室の屋根に4m位の蛇の抜け殻があったと、北壁日誌(元谷小屋常設)に記されてあった。
中は半分雪で奥に仏像らしきものが安置されていた。
草鳴社ケルン(3m程の木の柱)から少し離れた所に1500m看板がある。
北壁側の右手の沢に入る。斜度が40度はあるだろう。
ここが七合沢の上部である。
ブッシュを避けるため、急な雪の斜面を横切り、沢の真ん中でグリセードの体制になるが、雪がやわらか過ぎて、滑ってくれない。仕方なくキックステップのように一歩一歩雪面に叩きつけるように歩きながら下る。
上体の前のめりを怖がると、後ろに転ぶと滑落状態になる。ピッケルを叩き込んでも雪が腐って止まらないだろう。
転んだらどこまでも行くだろう。ブッシュの中に滑り込んで、引っかかり止ればいいが、回転して頭から落ちるようになったら一貫の終わりになるかもしれない。
かなり下った。沢状の地形の雪原を歩き始めた。雪原(渓)を踏み抜かないよう右に左に雪の多そうなルートを選ぶ。
沢の中心は雪解けのために薄そうに感じる。
上部では北西の風で風雪積もあり雪の量が多く感じた。
高度を下げると、樹林帯にさえぎられ温度が上がり解けている少なく。冬季に大きな雪崩でも出ていればデブリで覆われるが、今日の雪面はデブリの感じが無かった。それとも雪崩の上に雪が降ったのだろうか。
慎重かつ大胆に下っていく。標高差300mほど下ると雪の上に石が転がっている。要注意だ。
雪の上を石が降ってくると音を立てないので発見が遅れる。沢が狭くなり小さな尾根の向こうが八合沢だ。堰堤が現れると八合沢との合流点だ。
元谷の小屋が近くなると1100mくらいでもう斜度がない。蕗の薹が出ていたらつまんで持ち帰ろう。(蕗の薹味噌)
元谷小屋は綺麗な小屋で使用した人たちが、「来たときよりも綺麗に」の合言葉が定着しているようで気持ちがいい。
今回下った、七合沢は、登山ルートでない。
蕗の薹(キク科の植物とか。)
蕗の薹に小麦粉をはたき、素揚げにする。
天ぷら衣をつけて揚げる。(花の部分にはあまり衣をつけない)
水に溶いた小麦粉を絡めて油で揚げて食べる。
食べる時に、蕗の薹味噌をつけてみるとか。抹茶塩でも結構いいですね。
蕗の薹味噌の作り方は。
採取した蕗の薹をよく洗う。
ゴミを取り、また色の悪い所は外します。
そのままボイル(ここで塩を一掴み)。柔らかくなったら次は氷水に晒します。
水分をよく搾って、みじん切りにします。
蕗の薹と同量の、水気の少ない味噌に酒や砂糖を加えてとろ火で煮込みます。
小瓶に詰めて冷蔵庫に保管します。
数ヶ月は保存できます。
食べ方は、酒の肴として、湯豆腐に添えて、炊きたてご飯にかけて。
ちょっとほろ苦くって、春の香りがします。
スーパーで購入するときは、香りを嗅いで香りの良いものを選んでください。
香りがないと、春を楽しめません。
自然の蕗の薹は、そのまま食べたり、焼いたりしたらとても苦い。
(味噌汁に入れ、焼肉の野菜にと焼いてみた。特に焼くと苦かった。)
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