第20話〜 古楽もよいかな
(2006/10/22)

イ・ムジチ ブリュッヘン

 僕のバロック音楽との関わりは随分以前からのような気がする。中学、高校生の頃、朝ご飯を食べながらFMラジオを聴く習慣があった。朝6時半からの30分、「バロック音楽の楽しみ」という番組で、皆川達夫氏や服部幸三氏の解説で聞いていた、ルネサンスやバロック期の音楽がいつのまにか染みついていた。

 その後、自分で望んではじめて行ったコンサートがイ・ムジチ合奏団の演奏会。プログラムはお決まりのヴィヴァルディ「四季」と、同じヴィヴァルディのフルート協奏曲作品10全曲であった。フルートソロはセベリーノ・ガッゼローニ。大学生になり自分のステレオを持つことになって、ほどなく同じメンバーでのフルート協奏曲を入手した。定評のある演奏だけに何の不満もなく、購入以来30数年間、ヴィヴァルディのフルート協奏曲と言えばこの一枚で間に合わせていた。古楽ブームと言われて久しいが、僕にとっては特に興味の対象となるほどでは無かった。

 最近は以前買ったLPをデジタル化してウォークマンに入れて持ち歩いている。女性ヴォーカルやオーケストラ曲の内、聴きたい物はあらかたデジタル化してしまい、次は気軽に楽しめるバロック音楽をということで、まずはアルビノーニ、それからヴィヴァルディ。そうしてる内に、そういった作曲家の作品で聴いていない曲が沢山あることに気付いた。アルビノーニでは作品5や10、ヴィヴァルディの作品3。また「聴き慣れた曲も別の演奏で」ということで買ってきたのが、このヴィヴァルディの作品10。大好きなリコーダー奏者であるフランス・ブリュッヘンが独奏者だし、古楽器による演奏も面白そうだ。それにSEONレーベルのCDは一枚も持っていない。HMVの通販でぽちっとボタンを押すのに、さほど時間はかからなかった。

 聴いてみると予想以上に面白い。演奏楽器が全然違うためか、まるで別の曲のようにも感じる。山口美佐さんの解説によると、どうも別の版で演奏されているようだ。木管楽器同士の掛け合いが、まるでじゃれあってるような感じがする。う〜む、古楽って思いのほか楽しそうだ。秋の夜長の楽しみが又ひとつ増えたような気がする。


ヴィヴァルディ フルート協奏曲集作品10
------------------------------------------
セヴェリーノ・ガッゼローニ(フルート)
イ・ムジチ合奏団
1968年録音
PHILIPS FX-7686(LP)

フランス・ブリュッヘン(リコーダー、フラウト・トラベルソ)
18世紀オーケストラ
1979年1月録音
SONY(SEON) SBK62945(CD)


戻る 次のお話へ