第13話〜 ヘッドフォンのお話
(2005/10/02)

 僕はヘッドフォンで音楽を聴くのが嫌いである。書斎にはまずまず不足のない音質で鳴ってくれるオーディオセットが有るし、ヘッドフォンで聴くときの、音場が頭の中に定位してしまうことに違和感を感じるからだ。ところが前回書いたとおり、ウォークマンを買ってしまったことで状況が一変してしまった。胸ポケットに数百曲の音楽を入れて、どこででも音楽を聴くことのできる環境にハマってしまったのだ。音楽を聴く時間が飛躍的に増えたことに依って、CDショップを訪れることも頻繁になった。

 僕がウォークマンで主に聴くのは女性ヴォーカルである。サラ・ヴォーンとかH・ヒューストン、辛島美登里など。本当はクラシックも聴きたいのだが、周囲環境のS/Nの悪さを考えると、ピアニッシモをはっきりと聞き取るのは難しい。最初は本体付属のイヤホンで聴いていたのだが、路面電車の騒音に邪魔されて、ついついボリュームを上げ気味になる。音質的にはまず不足は無かったのだが、周囲への迷惑を考えると、遮音性に優れ音漏れの少ないヘッドフォンが必要になった。

ヘッドフォン 左の写真で大きい方は、メインオーディオで使ってるSONYの密閉型ヘッドホンMDR-Z600。以前使っていたヘッドホンを娘に強奪されたので、やむなく買ってきたもの。1万円程度の中級機で、豊かな低音に特徴がある。音質が良いので、息子や家内が時々持って行ってしまう。写真のようにウォークマンに装着してみると、あまりのアンバランスさに笑ってしまうほどだ。しかし音質はこの組み合わせが最も良い。振動板が大きいため、低音が無理なく鳴ってくれる。高音域は刺激的な音がせず耳に優しい。と言っても日常的にこのヘッドホンを持ち歩く訳には行かないので、左のオーディオテクニカATH-CK5を購入した。カナル(耳栓)型といわれる音漏れの少ないタイプで2千円台で購入した。ネットでの評判は、中高音域はきれいだが、低音は全く出ないとのこと。ただエージングで改善するという情報も有ったので、値段が安かったこともあり買ってみた。心配していた低音だが、量感こそ控えめに感じるが、音の芯はしっかりしていて、ベースの音階なども明確に刻んでくれる。値段の割にはいいイヤホンだと思う。


 携帯音楽プレーヤーは、圧縮音源を用いることもあり、音質的には明らかにピュアオーディオには劣る。従って音質を追求するより、遮音性、装着性を重視して快適に音楽を聴くことのできるイヤホンを選定すべきだと思う。今回買ったATH-CK5は、外界の音をシャットアウトするタイプではなく、適度に外部の騒音を和らげ、路面電車の中でも十分音楽を楽しむことが出来る。歩行中の安全を確保するため、多少は外部の音が聞こえる程度のものが良いのは言うまでもない。


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