第12話〜 はじめてのウォークマン
(2005/08/08)

 『LPジャケットギャラリー』をご覧になってる方なら、僕が相当な音楽好きであることはご承知のことかと思う。20代の頃は、暇さえあれば音楽を聴いてるか、歌ってるか・・・。仕事中でもずっと音楽を鳴らしていた。今の仕事についてからは、さすがに一日中音楽に浸っているという訳には行かなくなったが、それでも常に頭の中では音楽が流れているという状態だ。ただ時間的な制約もあり、実際に音に出して聴く機会は減ってきていた。そうなるとやはり禁断症状が出てきて、iTunesを使ってパソコンで音楽を鳴らしたりしていた。しかしそれではBGMの域を脱するものではなく、音楽を楽しむというのとは少し趣が違う。それではと最近はやりのデジタルオーディオプレイヤーを買ってみることにした。
WalkmanE507
 iTunesが気に入っていることから当初はiPodを買うつもりでいたのだが、HDDタイプだと少し大きい。iPod shuffleだと機能的に物足りない。そこでこの春発売になったばかりのSONYのネットワークウォークマンを入手した。FMチューナー付きのメモリ1GBのタイプだNW-E507)。大きさはちょうど100円ライターくらい。ワイシャツの胸ポケットに入れて持ち歩いてもちっとも邪魔にならない。容量的にはビットレートにも依るがCDが20〜30枚くらいは入る。お気に入りの女性ヴォーカルを入れて毎日の通勤時や昼休みに聴いているのだが、おかげで音楽を聴く時間が格段に増えた。

 音質的には圧縮フォーマット(ATRAC3)なのと、周囲環境が劣悪(騒音が多い)なのであまり期待はしていなかった。それでも名だたるオーディオメーカーのSONYだから、そう変な音は出さないだろうとは思っていた。実際試してみると、ATRAC3Plusの64kbpsの取り込みでは、ヴォーカル主体の音源だとさほど不満はない。情報量の少なさを、高域を少し持ち上げることでカバーしている感じだ。ピアノやパーカッションだと歯切れが悪く感じられて多少物足りない。全然駄目だったのがチェロ。朗々と鳴る感じが全く失われて、まるでベニヤ板で作ったチェロを聴いている感じになった(笑)。チェロという楽器は低音楽器と言われているが、実際は高調波(倍音)が豊かに乗って艶のある響きを生み出す。低いビットレートでは、その豊かな響きがスポイルされてしまう。結局満足できるのは最高音質のATARC3Plusの256kbpsだった。実用的にはATRAC3の132kbpsあたりが、音質と収録時間のバランスを考えるといいところであろう。

 付属のイヤホンは、見るからに安っぽい感じだ。駄目なら良いものに買い換えるつもりだった。しかし聴いてみるとそこそこ行ける。若干ハイ上がりなのと、超低域はきっぱりあきらめている感じだが、中音域がしっかりしているのと、適度な解像感が有るためにさほど不満は感じない。最初は高音が出すぎてハレーションを起こしたような感じだったが、エージングが進んでくるとバランス良くなってきた。調べてみるとこのイヤホン、単体でも発売されているMDR-E931らしい。値段の割には評判もよく、さすがに天下のSONYが気合いを入れて作ったウォークマンに付属しているだけのことはある。イヤホンについては他にも色々試しているので、又別の機会にでも書いてみよう。

 実際に使ってみると、数百曲の音楽を胸ポケットに入れて持ち歩けるというのは、数十年前から音楽を聴き続けている身とすれば大変にありがたい。以前ポータブルCDプレーヤーと2、3枚のCDを持ち歩くにも苦労したことを考えると、多少の音質の劣化くらいは目をつぶろうと言う気になる。質感、操作性とも申し分なく、これでiTunesから使えれば言うこと無いのだが(笑)。


戻る 次のお話へ