第8話〜 Bartonの誘惑
(2003/11/23)

 パソコンの自作というのは大変におもしろい。組立そのものはドライバー1本あれば簡単にできるのだが、いろんなパーツを組み合わせて、自分の用途に合わせた好みのパソコンに仕立て上げられるからだ。現在使っているのは5年半ほど前に買ったフロンティア神代のミドルタワーケースに、都合マザーボードが4枚目、CPUは4個目、グラフィックカードは4枚目、ハードディスクは4個目と、当初から数えて約四代目と言って良い。といってもすべて自分で買いそろえているわけではなく、パソコン好きの友人が時々パーツを送ってくれる。それに合わせて自分でパーツを買いそろえ、気が付くと中身がほとんど入れ替わってしまってるという始末だ。

 今使ってるマザーボードは、その友人に送ってもらったもので、Albatron KX400+というVIAのKT333チップセットを使ったATXタイプのもの。それに同時に頂いたAthlonXP1700+(Paromino)を載せて快適に動作していた。最新とは言えないまでも、僕の要求水準から言えばなんの問題もなく、今後1,2年は十分に使い続けられるはずだった。

AthlonXP200+(Barton) ところがAlbatronのページを見てみると、FSB333MHzをサポートしているとある。KT333というチップセットは公式にはFSB266MHzまでで、マニュアルにも266MHzまでの記述しかない。しかしメーカーのページに明記してあるということは、333MHzでちゃんと動くのではないか?マザーボード上にもしっかり333MHz設定のジャンパーがある。ということはAMDの最新鋭CPU AthlonXP2500+(Barton)が使えるのではないか?メモリは既にDDR333でそろえてある。おまけに前回紹介した小型パソコン用のCPUも必要だ。今使ってるParominoをそちらにまわしてBartonを買ってしまおうか。

 しばらく迷ったあげく、2500+が一万円ほどとお手頃になったのを期にCPUを入れ替えてしまった。マザーボードのBIOSは既に最新のものにしてある。ジャンパーをFSB333MHzにセット、既存のParominoを取り外しBartonに入れ替えて電源オン、なんの問題もなく立ち上がってしまった。クロック的には前回1.47MHzだったものが今回は1.83MHz。たかだか25%のアップにすぎないのだが、FSBが266から333MHz、2次キャッシュが256KBから512KBに向上していることもあって、モデルナンバーは1700+から2500+へと約1.5倍の性能アップということになる。CPUとメモリが333MHzで同期していることも性能面では好条件である。

 このAthlonXP2500+というCPU、クロックアップ耐性が高いと言われている。ものは試しと倍率を11倍から12.5倍に変更してみた。Athlonの中には倍率変更のためにはちと荒療治が必要なものも多いのだが、今回買ったロットは自由に倍率変更が可能なものだったようだ。実クロック2.08MHzとついに2ギガオーバー!2800+と認識されてしまった。更新前より1.65倍の性能向上ということになる。これはインテルのCPUに当てはめると約2倍の値段のものに匹敵する。インテルCPUではオーバークロックは大きなリスクと背中合わせであることを考えると、わずか1万円の投資で最新のマシンにひけをとらない性能を手に入れられるBartonの威力は絶大だったと言えよう。

 CPU変更後も、このパソコンは何事もなかったように動いている。そう実使用的にはなんの変化も無いのだ。定格の2500+もクロックアップ後の2800+もその違いはなにも感じられない。自作パソコンの妙味を味わうのと同時に、パソコンの性能向上に血道を上げるむなしさをも感じる出来事であった。


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