第1話〜 へんりーの正体
(2003/09/04)

 開館当時からのお客様だと、へんりーというのはどんな人物なのかよくご存じだと思うのだが、最近お見えになった方から
 「へんりーさんってどんな人だろう?」
 「館長とへんりーさんって、もしかして同一人物?」

などという疑問の声が耳に入ってくる。

 へんりーという名前は、アイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」という作品の中で、さりげなく名探偵役を演じるHenry Jacsonという老給仕に由来する。知的な中年に魅力を感じる、当時のへんりーの気分を反映したものであろう。
 ところがある日突然変身願望が湧き起こったらしく、金魚になりたいと言い出した。ということで開館当時書いた自己紹介がこれ。デッサンはへんりー自身、それを館長の僕がグラフィックソフトで仕上げたものだ。

 当時のへんりーは、このイラストの通りまるまると健康的な容貌であったが、ここ1,2年ほっそりとして憂いをたたえる美女に変貌した。館長の僕が銀河鉄道999に登場するメーテルのファンで有ることを知って、気を遣ってくれてるらしいのだ。年齢は僕より20歳ほど若いと主張しているが、カラオケに行くと昭和30年代の曲を立て続けに歌ったりするから、俄に信じがたいところもある。そういえば「どこでもドアを探しに行くんだ!」と時々行方不明になったりするのだが、実は光速で宇宙を駆けめぐり、アインシュタインの相対性理論の示すとおり、宇宙空間で若返りを図ってるのかもしれない。あの金魚すたいるはその折りに買い求めたものに違いない。

 僕とへんりーは約800km離れた場所で生活しており、直接会うのは年に一度がやっと。だから僕が目にするへんりーの姿が実体とは限らない。普段はどういう生態なのか知る由も無いからである。
 1000年ほど前、宇宙船に乗ってやってきた美しいお姫様は、求婚されるや無理難題をふっかけて時間稼ぎをし、慌てて救援船を呼んだ。もしかしてそういう類のいきものなのかも知れないと思ったりもする。本当のところはへんりー自身の弁を待つしか有るまい。


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