第3話〜ネットワークオーディオの概要
(2012/11/01)

■ネットワークオーディオとは

 最近よく聞くのは「PCオーディオ」と言って、パソコンに格納したオーディオファイルをそのパソコンで聴くというスタイルです。AppleのiTunesなどがこれに当たります。それでは音質的に物足りないということで、高音質のPC用スピーカーを接続したり、内蔵音源では音が悪いということで、外付けのUSB-DACを用いてオーディオシステムに接続したりします。
 これで十分良い音で音楽を聴くことが出来るのですが、一歩進めてオーディオファイルをネットワーク上に置くことによって、様々な端末で音楽を聴けるようにしようというのがネットワークオーディオです。

 ネットワークオーディオでは音楽を配信するサーバーと、それを再生するクライアントが必要となります。サーバーとしては、DLNAサーバー機能を持ったNASや専用のサーバーパソコン、クライアントとしては、先程述べたネットワークプレーヤーや普通のパソコン、また最近はやりのスマートフォンやタブレットなどが使えます。

 ここでは、Vortexboxという、音楽用途に特化したLINUX系のサーバーソフトを利用したシステムを紹介します。

Squeezebox Server■Vortexboxとは
 音楽配信に特化したLINUX系サーバーOSです。機能としては、
・CDのリッピングおよび格納
・格納したオーディオデータのデータベース化
・DLNAサーバーによる音楽配信機能
・DAAPサーバーによるiTunesへの配信機能
・SAMBAサーバーによるファイル共有機能
・VortexPlayerによる音楽再生機能
と音楽を扱うには十分な機能を備えています。

 音源のファイル形式としてはFLACが標準で、同時にMP3形式のデータを生成することも出来ます。但し、配信に用いられるのはFLAC形式のデータの様です。FLACを扱うことの出来ないiTunesのようなプレーヤーソフトのために、FLACをWAV形式に変換して配信するのがDAAPサーバー機能です。

 画像はVortexboxのデータベースをブラウザ上で表示したもの。'Squeezebox Server'と表示されています。この画面から内蔵のVortexPlayerを使って再生することができます。

 Vortexboxを動かすためには専用のパソコンが必要です。GUIを用いない軽量なOSなので、消費電力の少ないパソコンで構築が可能です。我が家ではインテルのATOM(D2700)を使っています。メモリは2GBほど、ハードディスクは1TBです。OSのインストール、CDのリッピングのためのCD(DVD)ドライブが必要です。

 インストールはとても簡単です。このページが参考になるでしょう。
http://sourceforge.jp/magazine/09/08/28/0943245
LINUXの知識は特に必要としません。
 現在の最新バージョンは2.1ですが、ネットワークをうまく認識できないなどの不具合があり、私は安定していると言われる1.10を使っています。

■FLAC形式とは
 高音質音楽配信によく用いられる可逆圧縮形式のファイルです。無圧縮のPCMやWAVデータと比べると約半分のデータ容量になります。よって1TBのハードディスクだと、約3000枚のCDを格納することが出来る計算になります。
元に戻すとWAVデータと同じものになりますので、音質劣化は全くないという理屈です。
 又、CDで用いられる16ビット-44.1kHzのデータはもちろん、24ビット-96kHzといったSACDに匹敵する高音質データ(ハイレゾ音源といいます)としての利用も盛んです。
 FLAC形式はタグが埋め込めますので、アルバム名、曲名、ジャンル、アーティスト、ジャケットアートなどを適切に登録することによって、検索性が飛躍的に向上します。

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