セザンヌの絵は「存在する」絵です。
雄弁に語る事はなく、そこに何らかの物語は感じさせない。
「時の流れ」から離れ、古さも新しさも持ち合わせない。
強い色彩はなく、弱々しい影はない。
熱い絵ではない。寒い絵ではない。
抽象的でない。写実的でない。
何処に魅かれるのかと聞かれて、此処だと明確な答えを見つけるのが難しい。
何をもて彼の絵を「彼らしい」と感じるのか、説明するのは難しい。
「何故」という疑問も理屈も飛び越えて、けれど感性でははっきりと「理解して」います。
これが、彼であり、彼以外の何者にも、表し得ない世界なのであると。
セザンヌの絵は「存在する」絵です。