かくも鮮やかに…という感じで目に飛び込んでくる色彩。そして空の青。
フランス北西部ノルマンディーの海岸(デュフィの故郷だとの由)は、実際にはこれほどまでに鮮烈な色彩にあふれていなかったのかもしれません。しかしながら、突き抜けるように青い空、それを際だたせているような三つの傘の対照、色とりどりの着衣は、本当にこの通りであった気がして、そして、どこかとても懐かしいのは、記憶の中の夏の海を思わせるからでしょうか?脳裏に描く夏の海は、水の色も、光も、凛とした濁りない色で織りなされているのです。
アカデミー派の伝統的保守的な画風を飛び越えて、新しい世界を繰り広げていったフォービズムの画家たちの絵は、大胆で生命感に満ちあふれています。
「青のデュフィ」の名を持つ彼は、頬を打ち目を覚まさせるような、まるで音楽を感じさせる力強さで、その「青」を私たちの心に焼き付けてくれます。