強烈な色彩と激情的な筆致で、それまでの表現の流れを変え、フォーヴィズム(野獣派)に影響を与えた、後期印象派の画家ゴッホ。今でこそ世界がこぞって彼の絵を、高額で手に入れようとしますが、しかし、彼が生前に売った絵はたった1枚のみであり、貧困、精神的な病気の苦痛等に苛まれる人生を送りました。
彼の画家としての出発は遅く、37歳で悲劇的な死を選ぶまでの、わずか10年の間に2000点を超える作品を残しています。
「ひまわり」は全部で12点あり、 その内7点が、ゴッホ芸術の最良期であるアルル時代の作品です。
芸術家村の構想を持ったゴッホは、アルルに「黄色い家」を借り、そこに ゴーギャンを招きました。ゴーギャンを迎え入れる部屋に飾ろうと考えて、描かれたのがこの一連の「ひまわり」の絵でした。しかしゴーギャンとの共同生活は(7点の「ひまわり」を描いた頃)たった2ヶ月で、ゴッホが自らの耳を切り落とすという衝撃的な事件の後、終止符を打ちました。
精神学上から見ても、彼の絵に多く用いられている鮮烈な黄色は、精神の不安定さを表しているともいわれております。
「炎の画家」と呼ばれる彼に、天が授けた才能はあまりにも大きく烈しくて、文字通り彼自身を焼き尽くしていったような気がしてなりません。