睡蓮
モネ【Claude Monet】(1840−1926)モネはフランスの印象派の原画家と見なされております。もともと印象派という言葉自体が、彼の作品、「印象:日の出」(マルモッタン美術館、パリ)から生まれました。
彼の作品では「光」が大きなテーマとなっています。対象となるモチーフの構図や配置はほとんど変えぬまま、季節・時間・天候による日の光の違いを連作絵として描き出しました。
そして彼が晩年に力を注いだモチーフこそ、この睡蓮でございます。
至近距離では、一見無造作に絵の具が置かれているかのようにさえ感じられるこの絵は、離れて見たときに、その姿を一変させて、微妙な色の違いによって描かれた穏やかな水面に浮かぶ睡蓮、映る雲などを見事に映し出すのです。(日本画の影響を受けた彼は、ジヴェルニーの自宅に日本庭園を模した庭を造り、池には睡蓮を植えました。この庭園を大変愛していた彼は、何人もの庭師を雇い手入れをしたと言われております)
晩年にこの一連の睡蓮を手がけたと前述いたしましたが……晩年には、彼の視力は視力の低下の一途をたどりました。しかしながら、彼は最後まで絵を描き続けたといいます。
この天才画家は、聞こえる音、肌に受ける風のすべてに、彼の愛でた睡蓮の姿を思い描くことが出来たのかもしれません。