日本でも高い人気を誇るミュシャの作品。
ここでは「春夏秋冬」(某書店の栞としても使われておりますのでご覧なったことのある方も多いのでは)を取り上げてみました。
彼の描く線の美しさは、やはり計算された曲線の織りなすかたちにありましょう。
ビザンチン風の繊細な装飾品や衣装、結い上げられた波打つ髪、女性らしい豊かな体のライン、季節の花々、また、それらを縁取る枠線までもが、柔らかな円弧を描き、調和した空間を作り上げています。
デザイン化された現代的な洒脱さと、絵画的な優美さ。
大女優サラ・ベルナール−彼の作品にも多く描かれている−をはじめとする、各界の一流の文化人が、彼のアトリエに集いました。その親交の中で、彼のセンスはさらに洗練されていったのかもしれません。
彼が晩年を過ごした、プラハのプラハ城の教会を飾る美しいステンドグラスの中に彼の作品があります。
いつもの柔らかい色調とは違い、青を基調にした、しかし凛とあげられた顔の顎の描く、しなやかで明確なラインが彼らしい、美しい“祈り”への造形です