ブルターニュ、ウエサン島の家
ユトリロ

「ブルターニュ、ウエサン島の家」(1912)
【Isle Ouessart, Bretagne】
モーリス・ユトリロ【Maurice Utrillo】(1883-1955)
油彩 60.3 x 81.9 cm

表現方法も描かれる対象も全くと言っていい程異なるのに、彼ユトリロの絵画は、ルオーの絵画と相通じる切ないような温かさを感じさせます。

優れた絵画というのは、時代も文化も言語も超えて、画家の絵に込められた想いを伝えることが出来るのでしょうか。
求めようとしても叶えられない、大切なものへの思慕。
画家の優しさも悲しさも、街の白い壁の色に凝縮しているように思われます。

酒に溺れることによって、何かを捨て去ろうとしていた、孤高の画家。
歴史に「もしも」が禁忌であるのは承知しておりますが、それでも尚、彼に尋ねてみたい気がするのです。

「あなたの絵画は、今でも沢山の人の心を和ませ続けている。あなたの絵を見て救われたように感じた人も数知れないだろう。もしも、あなたの生前にそれが分かっていたとしても、その遣り切れない淋しさは消えることはなかったのでしょうか」
と。

WEB美術館主任学芸員
へんりー

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