天真爛漫な子供の創造か、計算し尽くされた幾何学的造形か。
ジョアン・ミロは不思議な画家です。
故郷スペインで培われた自由な感性は、1920年代パリ美術界での多くの交流によってさらに磨かれていきました。
カタロニア地方教会美術のフレスコ画を思わせるような二次元的で平坦な画面は、また、赤、黒、青、緑のくっきりとした色彩と、螺旋、鋭角的な直線などで構成され、古典的表現とモダンアートとの融合を見せてくれます。
有機物を無機的な形態に変化させながら、それは動的な生命力にあふれ、原始の壁画のような力強さを持ち合わせた、独特の世界観に満ちています。
「音楽的な」と表現される彼の作品群ですが、私が彼の絵から思い浮かべるのは「マリオネットの葬送行進曲」(「ヒッチコック劇場」のテーマソングに使われたユーモラスな作品)なのです。
彼の「絵」に「耳」を傾けたときに、みなさんには、どのような曲が聞こえてくるのでしょうか。