深い海の中、一際鮮やかに存在する金色の魚。 紺碧の夜空の煌々とした月を感じさせるような詩情豊かな世界です。 モザイク画のような色彩も美しい。 自由の王国の主のような、凛とした滑るような優雅なうごき。なのに、ユーモラスさを漂わせている不思議な金の魚。 それでもなお、何かしら哀しいと感じられるのは、小さな宝石めいた他の魚たちとは一線を画した、神秘的な特異性でございましょうか。 激動の時代を生きた画家の、静謐で揺るぎない孤高のプライドに因るものなのでしょうか。