ポールマルリーの洪水
シスレー
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ポールマルリーの洪水【Flood at Part-Marly】(1876)
50 x 61cm; Musee des Beaux-Arts,Rouen
アルフレッド・シスレー【Alfred Sisley】(1839-1899)
アルフレッド・シスレーはパリに住むイギリス人家庭に生まれました。18歳の時、英語とビジネスを学ぶためロンドンに帰りましたが、パリに戻ってからは美術に専念することになりました。
この作品は、1876年のポールマルリーでの洪水の様子を描いたものです。シスレーは同じテーマで7つの作品を描いていますが、その内の一つであるこの作品では、空はまだどんよりと曇ってはいるものの、雨はすでに上がり、水の勢いも衰え、大災害の後とは思えぬほどの静謐な雰囲気を描き出しています。
水の上にぽつりと孤立したレストラン、小舟で行き来する人々、まるで船遊びを楽しんでいるように見えるのは私だけでしょうか? 暗さ、悲惨さをあえて押さえ、復興への息吹を生き生きと描いているとさえ思えるのです。
この作品に限らず、シスレーは川を題材とした風景画を多く描いています。青空に雲が浮かび、水面にきらきらと陽光が映え、自然の美しさをカンバス一杯に表現した作品が多く見られます。
この作品のように災害を描いたものでさえ、重々しさを避け、明るいトーンでまとめ上げた手法をみると、シスレーの優しい人柄を強く感じずにはいられません。
WEB美術館館長
Summy