傍らに控えた父親が見守る中、司祭からの聖体拝領を待つ少女。純白の衣装が蝋燭の光の中に映えて、楚々とした優しい美しさをより一層深めています。
人物の表情、頭上の花冠、燭台、敷物の柄に至るまで繊細で緻密な筆致で描かれ、静謐な画面を作り出しています。
妹ローラの聖体拝領の儀式に感動し、芸術アカデミーでこの絵を描いたピカソは、時にわずか14歳でございました。
蓋し天才と誰もが目を見張るような天分に恵まれた彼は、しかし、様式化された手法に自分を押し込めようとはせずに、その作風を古典調から、立体派、超現実派・抽象派、表現派など変転させ、自らの世界を開拓していくこととなります。絵画だけに留まることなく、版画・彫刻・陶器も手がけ、天衣無縫とも言える非凡な作品を残しました。