聖母子像
ラファエロ
上の画像をクリックすると拡大画像が表示されます
「カウパーの小聖母」The small Cowper Madonna(1505)
ラファエロ【Raffaello Sanzio】(1483−1520)
油彩 59.5 x 44 cm
National Gallery of Art, Washington
処女性と母性。
この二つは、女性に望まれる美しさの最たるものとして考えられていたのかもしれません。
乙女の持つ無垢な純粋さ、母の暖かな安心感。それを併せ持ったマリアの存在は、言葉で飾り立てなくても人の心をとらえたのでしょう。日本へのキリスト教の布教が「マリア信仰」で始まったことも頷けます。
田園風景…丘の上に教会を望むことが出来る…を背後にたたずむ聖母子。清楚に微笑むマリア。伏し目がちの視線、柔らかな輪郭。幼子を支える手の指先に至るまで優美な、それでいて完璧にバランスのとれた、安定した画面。さすが、ラファエロと言わしめるものであると思います。
包み込むような静かな優しさは、時代を超えて、私たちの心に安らぎを与えてくれているような気がいたします。
WEB美術館主任学芸員
へんりー