ドメニコ会の修道士グイド・ディ・ピエロ。彼の敬虔なひたむきさは、フィレンツェ大司教の座に推薦されたにもかかわらず、神から与えられた画僧としても仕事を続けるために辞退したというエピソードにも現れています。人々は彼をこう呼びました。「天使の修道士…フラ・アンジェリコ」と。
サン・マルコ修道院の壁に描かれた「受胎告知」は彼の人柄を見せしむような、無垢な柔らかさに満ちた作品です。
簡潔な画面構成の中に、慈愛の色の衣をまとうガブリエルと、英知の衣のマリア。配色の対照もさることながら、二人が交わす眼差しの優しさと、押さえられた動きの美しさ。特に体の全面で交差された手は「受胎告知」というテーマ…新しい時代の始まりを告げるガブリエルの使命感とマリアの清らかな母性を見事に表現しています。
静かな祈りの声が聞こえてくるような作品でございます。