アルジェの女たち
ドラクロア

アルジェの女たち
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アルジェの女たち(1834)
ドラクロア【Eugene Delacroix】(1798−1863)
油彩, (180 x 229 cm) ; ルーブル美術館蔵

この作品は1832年、モルネ伯爵に随伴した4カ月のモロッコ旅行を記念して制作されたものでございます。
「見るものすべてに圧倒されています」とパリに書き送ったというエピソードが表すとおり、、アフリカ大陸の強烈な陽の光の中で見る色彩は、あまりに鮮やかな対比を見せ、彼に深い感慨を与え(500点にもおよぶスケッチを残しています)、その鋭敏な色彩感覚を、よりいっそう豊かなものへと導きました。
異国風の衣装に身を包んだ豊満で美しい女性たちや、部屋の内装に用いられたあふれるような色彩は、決して不調和ではなく、互いの色を高め合う効果を生みだしています。
新古典主義に対して、自由で、律動的な個性的表現を重んずるドラクロワの画法は、ロマン主義を確立し、やがて19世紀後半の印象派の画家に多大な影響を与えていきます。
この「アルジェの女たち」を見たルノワールは「アルジェリア風のパリの女たち」という作品を描きました。
またセザンヌをして「ドラクロワのパレットは、今なおフランスのもっとも偉大なパレットである。静寂で悲劇的な作品においても、躍動する作品においても、ドラクロワほどに豊かな色彩を駆使した画家はこの世にいない。我々はみな、ドラクロワを通して描いているのだ。」と言わしめたほど、この色彩の魔術師の存在は大きなものだったのです。

WEB美術館主任学芸員
へんりー

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