四人の使徒
デューラー

四人の使徒

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四人の使徒(1526)
アルブレヒト・デューラー【Albrecht Duler】(1471-1528)
Oil on panel, Each panel 215 x 76 cm; Alte Pinakothe, Munich

この絵画では、対照の妙をみることが出来ます。

暗い背景から浮き出すように、ほぼ線対称に配置された人物は、左よりヨハネ、ペテロ、パウロ、マルコですが、まず目を引くのは、ヨハネとマルコが身にまとう清かな衣擦れの音さえ聞こえてきそうな衣装の、赤と白の鮮やかさです。キリスト教において、赤は慈愛を、白は無垢を表現します。

また、沈思するヨハネとペテロ、眼光炯々としたパウロ、マルコの、それぞれの表情も印象的で、静謐さと力強さの対比を見せています。

「この作品に4人のルターを、すなわち聖書の人、思想家、指導者、そして闘士という4人のルターを見る」と言われるほど、宗教改革家ルターに傾倒したデューラーですが、彼は絵画を単なる美術品としてではなく、宗教的な思想を後世に伝えていくためのものとして考えていたふしがあります。

福音記者である4人の足許に書かれている新約聖書からの引用文は、偽予言者や偽善家の出現を警告するものであり、「敬神の人デューラー」の厳しい姿勢がうかがえます。

信仰の多角的な内面性を表現したこの作品は、宗教改革という時代が希求したものであったと言い換えることができるのかもしれません。

WEB美術館主任学芸員
へんりー

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