「中国を観る」
大連ビジネス交流(3)
『中国・大連の中古車市場:売り手市場!』
滞在二日目。まず「大連の中古車市場」の見学です。
日本では司法書士・不動産鑑定士に相当する仕事を主に行い、中古 自動車の販売店も経営している許氏の案内で“中古車市場”を見学 しました。
“中古車市場”と表現したのは、10数軒の同じ規格の建物と展示場が並ぶ塀で囲まれた広場です。管理者は「公安」(つまり警察)で、建物・敷地は「公安」から借りるそうです。敷地の中にクルマの登録手続きを行う「公安」の事務所(日本の陸運事務所?)もあります。
十坪程度の「店」とその前に20台程度クルマを並べるスペースがあり、許氏の店の前にはベンツやトヨタのランドクルーザー等高級中古車が6〜7台並んでいました。
価格表示も年式を示す数字も何もありません。許氏のスタッフは「当店は高級車ばかりを揃えた評判の店である」と胸を張っていました。
この会場の看板は「大連二手汽車交易市場」と掲げていました。 ・・・「二手」?
そうなのです「中古車」でなく、「セコハン=セコンド・ハンド」 つまり「二手車」なのです。つまらぬ事に感心してしまいました。
たまにお客さんが家族で中古車を品定めして回っていますが、中古車業者はお客さんには関心が無い様子で声を掛けるどころか、視線を向けようともしません。
「お店」の中は事務机が2つ並び、壁際に簡単なパイプ椅子が置かれています。(お客様用の椅子らしい。テーブルはありません。)
接客する・応対するという雰囲気ではありません。日本の新車ディーラー、中古車販売店の「商談ブース」「応接コーナー」とは似ても似つかない雰囲気です。
この中古車の店に限らず、ホテルでも、高級中華飯店でも「笑顔」の無い「サービス精神の乏しい」中国のサービス業を目にして「お客様満足」で差別化する事が如何に強力な競争力になるか…を痛切に感じました。
天候で帰国が延び、最後に宿泊した大連のホテル(富麗華南山花園酒店)の従業員(フロントも、ルームキーパーも)の「笑顔の挨拶」に新鮮な驚きを感じました。
日本のデパートや、大手スーパーが中国に進出して真っ先に実行した事は「笑顔の挨拶」の教育だったと聞くが、中国では「モノが豊になる」これから「お客様満足経営」が砂が水を吸うごとく…広がるであろう事を信じます。また、日本でも再度「真のお客様満足」を見直し、「お客様満足」の基準は「お客様のニーズにより」常に変化し、競争環境の変化
に応じて常に進化しなければならない事を前提に「我が社の顧客満足経営」をゼロから洗い直す事をお勧めします。
(3)終わり
オーナーの許氏に「お客様満足を心がけた接客応対、商談コーナーの設備、雰囲気つくり、売った後のサービス体制で他店と差別化すれば、売上は倍増するのでは?」と感想を述べると「その必要は無い。売り手が強いのだ。買いたいお客に売ってあげている。今のやり方で充分儲かっている」と言う返事です。
「日本でもそういう時代を経過してきた。そのうち立場が逆転する。今の内にお客様満足で差別化しておくべき」と反論するのですが、どうしても同意しません。
この体験から、逆に「お客様満足」の重要性を再確認した次第です。
日本のいわば一見「サービス過剰」「顧客対応の差の余り無い社会」「マニアル型・一律接客応対」の中で、「真」の「顧客満足」に麻痺してきた事、比較的治安の良い日本で「安全」の価値を感じないように、「顧客満足」の価値に鈍感になってきている事に気付きました。