<3市2町合併協議会設置議案に対する反対討論>
(平成11年6月25日)
先ず、討論に入る前にお断りを申し上げておきますが、今回の提案は一見すると普通地方公共団体の数の増加、合併協議会規約の変更というふうにあります。熊毛町、鹿野町の加入を受け入れるかどうか否かという議案のようにも思えるわけでありますが、これは先ほどの委員長報告にもありましたように、手法の問題であります。その実態は、実質はと言いますか、その実質は3市2町で合併協議会を設置するということについて、これを是とするか非とするかという問題であろうというふうに思います。したがって、私は2町を受け入れたくないという意図ではないということを、冒頭に申し上げておきたいというふうに思います。 それでは、反対の討論に入らさせていただきます。先ず第一は、任意の合併協議会の問題であります。すでに設置されております徳山市・下松市・新南陽市3市の法定合併協議会の会議の中でも、任意の合併協議会が今までなかったということが指摘されております。これは何も本市の委員だけに限ったことではなく、他市の委員からもこうした発言がありました。そして、これに対する反論はありません。このことをよく考えてみますれば、法定合併協議会の会議の中では、任意協議会がなかったということが共通の認識になっているということではないかというふうに思います。この任意の協議会がなかったということの意味は、何でありましょう。当然、そこで議論されるべきものが未だに空白であるということを、これは意味しているのではないかというふうに思うわけであります。 たとえば、それは新市の建設計画であります。いまだに青写真もなければ、どのようなまちをつくろうとするのか、3市あるいは3市2町での何らの合意もないわけであります。一口で3市あるいは3市2町というふうな言い方をしますが、問題はそんなに簡単ではない。この3市を合わせれば19万5千、面積的には先ほども広いという話が出ておりましたが、全国3,200の自治体の中の92番目になる北九州市をしのぐ広さであります。また、3市2町、21万5千人、745平方キロは25位の広島市をしのぐ、それだけの広さを持つわけであります。この北九州市と広島市はいずれも100万都市でございます。これをしのぐ広さである。こういう広さを持つ自治体になるということでありますから、当然そこにはそれなりの任意協なりでの詰めが行われなくてはならないということを考えるわけですが、全くそういうことがなされておりません。 ここで少し紹介してみたいのは、一般質問でも取り上げさせていただきましたが、全国の類似規模の自治体と比較して、この周南の3市あるいは3市2町はどうなるのかということであります。20万都市になればサービス業が張り付くといったような楽観的な声もありますが、全国の人口の類似都市のなかで、この周南3市あるいは3市2町の参考になるところがはたしてあるのでしょうか。たいへんな疑問であります。ここで全国の15万から30万未満の人口の都市75市と、少し比較してみたいと思います。全国には15ないし30万未満の都市が75市あります。先ほど申し上げたとおりですが、この中で400平方キロ以上の広さを持つ都市、これは青森市、福島市、盛岡市、これは青森県、福島県それから岩手県の県庁所在地であります。いわゆる県都でありますが、この三つ。それと帯広、苫小牧、これは北海道の都市でありますが、合わせて五つしかございません。その他には20万都市、特徴のあるところでは首都圏の都市は22市ありますが、大半が100平方キロ以下と、そして半分以上は更にその半分の50平方キロ以下という限られた面積の都市なのであります。そして、残りがおおむね200平方キロ前後のその他の都市と、こういう形になっております。私は、この75市の分析をしてみただけでも、この周南3市があるいは3市2町が、本当に合併して20万都市と言えるのか、大きな疑問を持たざるを得ないわけであります。こうしたことは未だに議論されておりません。 それから、またこの都市圏という観点から、この周南3市あるいは3市2町を考えてみまするならば、先ほど紹介しました25万から30万の都市、これは21市ありますが、通勤圏人口これも都市圏人口の一種だろうと思いますが、これを60万人持っております。それから、20万から25万の都市19市は50万の人口を持っている。圏域の人口を持っている。15万から20万の都市は40万人の都市圏人口を持っている。通勤圏人口を持っているとこういうことであります。ところが、この周南にはどんなに足して集めても30万の人口しかないわけであります。明らかにここでも15万以下の都市と同格と、こういう結論しか出ないわけであります。おそらくこの周南が合併したとしても、全国の20万都市と比べるならば例外的な都市になるであろう、このことは否めないのではないかというふうに思います。 それから、この他にもまちづくりの視点から考えるならば、都心をどうするのかという問題は大切な問題です。そうしたことから「Voice21」にもこのことが記述がありますが、徳山駅周辺を再整備するというふうにありますが、現状の徳山駅周辺の空洞化の進行はどうでありましょうか。3市が、あるいは3市2町が合併したから、合併すればこの進行に歯止めがかかるというものではありません。もっともっと根本的な、それこそ政治の理念の根底から変えるような対策、対応が必要なわけであります。 これらを総合的に考えてみれば、20万都市、私は20万都市とこの周南の3市、あるいは3市2町を呼びたくないですね。仮に20万自治体になったとしても、この地域が活性化していくという保障はどこにもございません。むしろ巨大化することで市民から遠くなるといったようなデメリットが、あるいは地域間で、地区間でお互いの利益の取り合いが始まるといったようなデメリットのほうが多いかもしれません。このような中で、任意の合併協議会を飛び越して法定の合併協議会を設置するということは、私は納得できません。これが先ず第一点目であります。 それから第二は、法定合併協議会の規約の中の第3条第1項の問題であります。「合併の是非も含めた3市2町の合併の協議」と、ここには明確に記してあります。この意味は何でありましょうか。私どもは、当初この文言を読んだとき、合併という手法そのものの是非、つまり他の手法、たとえば広域連合等ですね。これらと比較・検討ができるのだろうかと、こういうことも考えてみました。そういうふうな議論がされるのだろうかというふうに受け止めようとしたわけです。事実そういうふうに受け止めて、前回の3市の合併協議会の設置のときに賛成された議員の方もあります。 しかしこの文言は本当にそういう中身を表していたでしょうか。これは、その後の3市の法定合併協議会3回行われましたが、その中の会議でも明らかであります。この問題についての取り扱い、見解は極めて冷淡なものであります。先ず、協議事項の中にもこれは入っておりません。それから、会長答弁では法定協である、法定協議会なんですよということがしきりに強調されます。そして、合併の是非というものを全然ないがしろにしたわけではないと言いながら、当時展開された入り口論、出口論の出口論に便乗すると、こういう形で会議が進められております。出口論とは何か。合併に関するいろいろな項目を協議して、最後に出口の段階で合併の是非を判断すればいいではないかとこういうことであります。このことに終始議論の行き先を落ち着けようとされる、こういう形になっておるわけであります。 中国に羊頭狗肉ということわざがあります。羊の頭を掲げて犬の肉を売るということですが、まさしく私は、この合併の是非も含めた3市の合併の協議というこの項目は、羊頭狗肉ではないかと思えてならないわけであります。あたかもこれから、すでに3市は設置されておりますが、あたかもこれから設置される3市2町の法定合併協議会の中で、合併の是非を大々的に取り上げて議論するように見せかけて、その実態は旧態依然とした法定合併協議会と何ら変わるところはない、こういうことであります。看板に偽りありと感じるのは、私一人ではないでありましょう。このような欺まんの匂いに満ちた方便まで使って法定合併協議会を設置しようとする考え方は、私はとうてい賛成できません。 更にもう一言申し上げるならば、最近の地方制度調査会の答申やそれから中央分権推進計画、これは閣議決定ですが、この考え方と照らし合わせてみましても、この法定合併協議会の見解、あるいは姿勢は疑問を持たざるを得ません。 地方制度調査会の中には、市町村の合併に関する答申としてこういう部分があります。「また、合併協議会は合併自体の是非も含め、合併に関し協議する場であるということをふまえ、関係市町村が積極的にその活用を図ることが期待される。」こういう文言があります。あるいは、「なお、合併協議会においては合併自体の是非も含め、自由かつ幅広い議論がなされることが望まれる。」これは地方制度調査会の答申であります。 ところが、法定合併協議会での答弁は、これは会長答弁ですが「いろいろ合併するについては、いろいろな項目があるわけでございます。そういったものをお互いに協議しながら、今の合併の是非論というものがだんだんはっきりしてくると言いますか、それぞれの意見が固まってくるというようなことになるんだろうというふうに思っております。そういうことでございますから、いろいろな項目について率直なひとつご意見を出していただいて協議をいただきたい、そういうふうに思っております。ですから、合併の是非というものを全然ないがしろにしたといいますか、別にしたということではありません。」この程度の答弁でおさまっているわけであります。その後段では、同じ会長の答弁で「この協議会は任意の協議会ではありませんで、法定合併協議会でございます。」このことが強調されております。私は明らかにそういった意味では、3市の法定合併協議会の見解と、この地方制度調査会の言わんとする精神は違っていると、こういう受け止め方をせざるを得ません。 それから更に、閣議決定の地方分権推進計画でありますが、この中にもこういうくだりがあります。「なお、市町村の合併の特例に関する法律上の合併協議会においては、合併自体の是非も含め検討・協議されるものであることを明らかにする。」と、こういうくだりがあるわけであります。これらの文章から見ても、今日設置されております3市の法定合併協議会、あるいはこれから設置されようとする3市2町の法定合併協議会、この姿勢は明らかに後退しているというふうに思わざるを得ません。固執した姿勢、見解と言わせていただきたいというふうに思います。これが、二点目の反対の理由であります。 以上、二点を反対の理由としたいと思いますが、最後に私は、これまでの法定合併協議会の提案に至る一連の流れのなかで感じたことを若干申し上げてみたいと思います。 その前に、ちょっと合併というものについて触れさせていただきたいと思いますが、山口・小郡地区の合併問題が、現在頓挫しております。しかし、合併問題というものを考えてみれば、山口・小郡地区の合併が、この頓挫で終わったわけではないというふうに私は思います。合併問題というものは、おそらく山口・小郡地区でもこれからも繰り返し浮上するでありましょう。事実この新南陽市でも過去3度、すでに徳山市との合併問題が消えては浮上し、浮上しては消える、こういうことになっているわけであります。 合併問題というものが、このような性格を持つということを先ず考えてみる。そして更に、お互いの市や町の信頼関係の上に立ってこれらの協議が進められるべきではないかということを考えてみた場合、私は、今回のような進め方というのは最もまずい進め方ではないかと、このような感じがしてなりません。鳥が足元から飛び立つという言葉がありますが、まさしくこのようなやり方で法定合併協議会の設置を提案され、そして先ほども申し上げましたように、合併の是非を含めた3市あるいは3市2町の合併の協議とうたいながら、地方制度調査会やあるいは閣議決定の精神にももとるような中身の合併協議会をつくろうとしている。とうてい納得できないというふうに思うわけであります。 私は、これまで周南の合併の問題についていろいろな疑問を一般質問の中で、あるいは委員会の中で申し上げてきました。残念ながら議論は噛み合いませんでした。それはそのはずだと思います。私は、今回の提案に至るまでの流れを考えてみたとき、これは合併問題以前の問題ではないかというふうに思えてならないからです。最後に、このことを感じた感想として申し上げておきたいと思います。以上です。 |