
中世の騎士が馬に乗った姿が描かれている。しかしよく見ると、大地に広がるクレーター群は月の表面のようであり、騎士の持つ槍は白く光を発している。
馬自体も鎧を着たが如く機械的であり、馬の姿をした月面歩行マシンと見る方が正しいのであろう。
全体のデザインはチック・コリアの『浪漫の騎士』との類似性が感じられるが、よりSFチックである。
『英雄の生涯』はR・シュトラウスの交響詩群の集大成であり、自分自身を英雄にたとえて作曲されたと言われる。そういった意味で、楽天的で華麗な音楽であり、後年のオペラ『サロメ』に見られるような官能性は感じられない。
このレコードでは、マゼールの手慣れた棒さばき、クリーブランド管の完璧なアンサンブル、アナログ時代の最高水準とも言える見事な録音によって、聴き応えのあるものとなっている。