
新約聖書「マルコによる福音書」に記述された『サロメ』の物語は、19世紀末オスカー・ワイルドにより戯曲化された。聖書に題材をとった物語でありながら、その官能性の故か、ワイルドの生前には上演されることはなかった。
フランス語で書かれた『サロメ』は、名女優サラ・ベルナールによって上演が計画されたが、中止となっている。
この物語に鮮やかな音楽的色彩を加え、オペラとしたのがR・シュトラウスであった。シュトラウスの目を見張るようなオーケストレーションは、この物語の官能性を見事に表現している。R・シュトラウスの代表作と言えよう。
ジャケットはドイツの画家フランツ・フォン・シュトゥック(1863-1928)の『サロメ』(1906)。
この絵を見たWEB美術館学芸員へんりーは次のように語っている。
あ、すごい。
いいですね、これ。
サロメって艶めかしい肢体の女性だけれど、妖婦というより、善悪の判断の付かないままの「これほしいの」って駄々をこねている子供のような、死の意味も分かっていないような幼さが在ると思うのです。
首だけになったヨカナーンに話し掛けるシーンも「どうして?どうして話し掛けてくれないの?私を見てくれないの?」と本当に不思議がっている気がします。
無垢という言葉を使うにはおかしい気もしますが、この絵のサロメ嬉しそうに奔放に踊っているので・・・
ビアズリーの絵は、ほんと雰囲気ぴったりだし、あの少ないラインでなんとも官能的な世界を作り上げていて素晴らしいと思うのですが、私自身の抱いているサロメという女性のイメージはこちらの方が近いかしら。
(Nov.1999)