たそがれのベニス
モダン・ジャズ・カルテット(1957)
No Sun in Venice
"No Sun in Venice"
Modern Jazz Quartet
1957年録音 ATLANTIC 1284

モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)のアルバムはジャケットのセンスが良いものが多いのだが、これはクラシックのアルバムと見間違うようなデザインとなっている。使われている絵画は、イギリスの画家ターナーの「ベニスの大運河(1835)」"The Grand Canal, Venice"(ニューヨーク メトロポリタン美術館所蔵)。オリジナルの作品と見比べて頂けるとわかるのだが、このジャケットでは左右が反転している。単なる間違いなのか、それとも意図有ってのことか?

実はこのアルバム、先日CDショップで手に取って、「あ、ターナーだ!」ということで買ってきたもの。むろんMJQは以前から好きなグループで、ジョン・ルイスやミルト・ジャクソンのアルバムも何枚か所有している。このアルバムは映画「大運河」のための音楽として書かれたものをレコーディングしたもの。ステレオ最初期の録音だが、音質は当時のものとしては恐ろしく良い。

MJQの音楽は、ジャズではあるのだが、ジョン・ルイス(p)の音楽性からかクラシック(特にバッハ)的な要素を多く含んでいる。ミルト・ジャクソンの美しいヴァイブラフォンの音色もあって、リラックスして聴ける美しいアルバムに仕上がっている。
(Dec.2005)

【ベニスの大運河】The Grand Canal, Venice (1835)
Turner, John Mallord William (1775-1851)
Oil on canvas, 91.4 x 122.2 cm
The Metropolitan Museum of Art, New York

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