
岩肌にぽつんと浮遊した赤いバラ一輪。茎の切り口を見ると地面から生えたものではないことが判る。実はこのジャケットの裏面には、このままの構図でバラが石化した様子が描かれている。このジャケットデザインはティム・ブライアントの手になるものである。
キース・ジャレットは『ケルンコンサート』に代表されるピアノ・インプロヴィゼーションで知られるが、この録音ではキース・ジャレットがピアノの他、フルート、サキソフォン、パーカッションなどを演奏している。B面冒頭の"Prayer"ではチャーリー・ヘイデンのベースとキースのピアノのデュオが特に美しい。
キースの録音では、1989年に八ヶ岳高原音楽堂で録音された、バッハの『ゴールドベルク変奏曲』(J00J20356 ECM)が特に素晴らしい。チェンバロで演奏されたものだが、現代最高の即興演奏の名手が、史上最大の即興演奏家バッハの作品に取り組み、時として甘美な響きさえ醸し出している。往々にして音楽史の中に閉じこめられた音楽として解釈されがちなこの作品に、新たな息吹を与えていることが注目される。そういった意味ではグレン・グールドの同曲の録音と双璧であろう。