
紀元4世紀の教父アウグスティヌスの言葉に次のようなものがある。
”少し前からミラノの教会では、多数の僧侶が声と心を聖なる熱心で一つにあわせ、人の心を慰め教化する旋律で礼拝を行うようになった。・・・この頃東方教会の習慣にならって、会衆の心が悲しみに沈み、飽き飽きしないように、讃歌と詩篇の歌が取り入れられた。”
無伴奏、単旋律で歌われるローマカトリックの典礼の歌は、6世紀末の教皇グレゴリウスにちなんで『グレゴリオ聖歌』と呼ばれ、カトリックでの約束通りラテン語で歌われる。
東方教会の習慣とは、『コプト聖歌』のようなものであろうか。シンバルなどの鳴り物入りで歌われる聖歌というのも、どこかオスマントルコ軍楽隊の音楽とも共通点が感じられて興味深い。
ジャケットは、ここで奏でられる旋律とはかなりイメージのかけ離れたものであろう。金属製の無機質な秤の上に音符が配されている。1973年にグラモフォンが”名曲のしらべ”というシリーズで発売した中の1枚であるが、現代アートとグレゴリオ聖歌の取り合わせが、なかなかに面白いので取り上げてみた。