交響曲 第4番
J.ブラームス(1885)
Brahms Sym.4
オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団
1956〜7年録音 S35546 米Angel

 最近ブラームスとモーツァルトにはまっている。「モーツァルト生誕250周年」を特に意識しているわけでは無いのだが、モーツァルトの後期交響曲、ブラームスの交響曲、ピアノ協奏曲などを繰り返し聴いている。両者に共通して感じられるのは、曲の構成がしっかりしていること。情緒的に演奏しても素晴らしい効果を発揮するのだが(B.ワルターのように)、ここに紹介するクレンペラーの様に、曲の骨格を明確に、がっしりとした構成を表に出した演奏もまた素晴らしい。

 ブラームスの交響曲第4番は、名曲ということも有って名演奏が目白押しだ。その中でもB.ワルターがコロンビア交響楽団で録音した演奏がピカイチだと思っていた。ところがレコード棚で眠っていたこの録音を聴いてみると・・・、ずっしりとした重量感、骨太ながらしなやか。購入以来数十年経ってはじめて気付くとは、なんとも不覚であった。

 1956〜7年というステレオ最初期の録音だが、恐ろしく音質がよい。音に厚みがあり、各楽器は鮮やかに分離する。とても50年前の録音とは思えないほどだ。現在でも交響曲第3番と組み合わされて、東芝EMIから廉価盤として発売されている。CDで買い直してみようかな、と思わせるほどの名録音である。

 ジャケットはクレンペラーの横顔をデッサンしたもの。シンプルで押しつけがましくないデザインが記憶に残っていた。

(July 2006)

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