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遺作展を終えて

芸陽観音同窓会報『芸陽‘11爽涼号』掲載

 

 この度は「小笠原忠弘遺作展」開催ならびに作品集出版に多大なご支援とご協力を賜り誠にありがとうございました。

7月5日から10日までの期間中、広島県内だけでなく関東、関西の遠方からも多数の同窓生や元同僚の皆さまにご来場頂き、盛況のうちに終えることができました。朝日、毎日、中国の各新聞社やRCCテレビの報道もあって、二つの会場であわせて1500名近くの方が来られました。また、初日のオープニングパーティー「偲ぶ会」にも芸陽観音ゆかりの方々が多数ご参加くださり、旧交を温める場となりました。厚くお礼を申しあげます。

 大きな会場の広島県立美術館県民ギャラリーでは時系列的な展示、アットホームな空間のギャラリーGでは小品展示と、それぞれに違った雰囲気の中で小笠原作品を見て頂き、各時期の絵の中にそれぞれの時代や青春を重ねて受けとめて頂いたことを実感いたしました。ギャラリーGの二階のアトリエ風の造作や置いてあった古いクラス写真なども好評でした。ここに感想をいくつかご紹介します。

 「忘れていた訳ではありませんが、忙しさにかまけて封印していた〈私達の時代〉がまさにそこにありました。先生がずっと問い続けてきたもの、そしてお前は今まで何をしてきたのかという問い。それを今自らに問うております。図録にありました梅原さんの手紙。まさに私達の時代の空気感そのものです。それぞれ微妙に個々の立ち位置は違うものの、あの時代のいろんなものがないまぜになった感情、映像が一瞬のうちに戻ってきた感覚にとらわれました。先生と深い話をしてこなかったのが、今となっては残念です。まあ、真面目な話を始めれば適当にはぐらかされていたと思いますが…」

 「自分は水泳部で、あのころ美術室前に転がっていたボルトやナットが何に使われるのかなあと思って見ていましたが、今日やっとわかりました」

「美術部の私は、暑い夏休み、セメントを塗った金網をおさえとけと言われてじっと持たされて、切ったり穴を開けるのを手伝わされました。出品すると言われていたのを本当かなとずっと疑問に思っていたのですが、作品を見て安心しました」

作品を通して多くの皆さまにお目にかかることができて、小笠原忠弘もさぞかし喜んでいることと思います。心よりお礼を申しあげます。

   小笠原忠弘遺作展実行委員会 酒井一彦(26期)・ 事務局 小笠原恵美子