筝と三弦9

箏と三弦


三弦の姿勢がおかしいので、ずっと気にしていた。
テレビや写真で三弦を弾く様子があれば注意してみていた。
どうも左手親指が自分とは違う気がする。
師匠に稽古をつけてもらっているときには楽譜と三弦を見るのが精一杯で
なかなか師匠の様子にまで気持ちが回らない。
今回は先輩の稽古を見る機会ができた。
そのときやはり先輩も私と同じことを師匠から注意されていた。
左手の指がギターのように伸びてしまうことである。
それは前々から気になっているのだが、
伸ばさないと届かないのはなぜだろうと思っていた。

師匠は他のことも気になり、先輩の三弦を手にとって、見てごらんと弾いてくださった。
それを失礼とは思いながら近くに(実は真後ろまで近づいた)までよって、
気になっていた左手親指をよく見た。
すると、親指の位置が私や先輩とはまったく違っていた。
私たちは手掌の線に対して平行に親指が反り返る形になっていたが、
師匠は手掌に対して内側から交差するようになっていた。
じゃんけんのパーをするように広げた形でなく
チョキをするように親指は中に入っているのだった。
確かにそうやって見ると他の指が動きやすく、人差し指も伸ばさないでしっかり曲げることができた。
なるほどと実感してしまった。師匠には笑われてしまった。

また先輩は三弦を習い始めた頃、他の師匠についておられた方だった。
この師匠の下では、三弦を習うときに、ツボ(音を決める棹の位置)が分かるように
市販のテープを貼るのだそうだ。
もちろん今ではそのテープはとられている。
ところが、音に対する耳が鈍感な方ではないのに、
テープに頼って弾いていたのでツボがいまだに覚えられないと困っておられた。
私たちもツボの位置を目で確認はしている。どう違うのだろうかと考えてみた。
私は一応棹全体の長さに対する位置と、あとは指の離れ具合などで大体の目安をつけている。
そこをきちんとすると音もちゃんと合ってくるように私には思える。
先輩の場合には棹との位置関係より、テープだけを見ておられたのではないだろうか。
師匠によると、「テープをつける教え方は教えるほうはとても楽だ。
耳で音を覚えさせなくても、書いてある通りに押さえられれば問題ないから。
でもテープだけを見るようになっていつまでたってもツボがわからないだけでなく
(音に対して敏感でなくなり)調弦すらできなくなる。」先輩は「私がいい見本です」と。

何事も最初が肝心だと感じた。

箏は新しい曲である。
情景描写で歌のない曲なので雰囲気が大事だというのは分かっていたが
一体どんな雰囲気なのかが、なかなか自分の稽古だけでは分かりにくい。
師匠と一緒に弾いてみて、やっと雰囲気を感じることができた。
素敵な曲である。次は師匠が替え手を弾いてあわせてもらえる予定である。
雰囲気を忘れないように稽古しよう。

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