筝(こと)をならう69

箏と三弦


お弾き初めである。
前夜から眠れず、興奮状態である。
大体において緊張しやすい性格なのでつらい。
師匠の挨拶のすぐ後で、免状をいただく。
あまりに突然で驚いて、しどろもどろになってしまった。
今回が、生田流筝曲中伝終了である。
一緒にいただく、三弦の友人の免状を見せてもらうと野川流三弦と書いてある。
三弦の場合は野川流というのだと今回はじめて知った。
つまり私がこれから習う三弦は野川流というのである。
わからないことばかりがたくさんある。

そして一番最初に以前演奏した曲を皆さんと合奏である。
以前演奏したときには、それほど難しいと思わなかったのに、今回はなかなかで、つっかえるところが増えてしまってどきどきしながら演奏した。
一度演奏すれば、少し落ち着くかと思いきや、そんな状態であるので、さらに緊張が高まる。

いよいよ、免状をいただいた四人での演奏である。
最初にしっかりみんなであわせようと声をかけるが、自分が緊張している上に、相手も既に顔がこわばっている。どうしようと心はあせるがいかんともしがたい。
最初に尺八の先生方がずらっと並ばれたが、師匠より
「生まれてはじめてあわせるので、多分大変です。
尺八はお一人でお願いします。この後みんなも入りますからそのときにご一緒に」と言葉があり、お一人にお願いすることになった。
しかし、結果は惨憺たるものになってしまった。
四人が四人ともばらばらになってしまったために、尺八の先生と合うはずもない。
とりあえず終わりは四人がそろえることができたのだが、尺八の先生を散々困らせてしまった。本当に失礼なことであった。
今後の精進だけがその恩に報いる方法であると心に誓う。

次の曲は先輩の皆さんとご一緒なので、多少の心の不安が取り除かれる。
ただ、いつもの自分の演奏と先輩方の演奏がどのように違うのか、わかるまでの余裕はなかったのが残念であった。

その後は昼食をはさんで、先輩方、ご招待の先生方の曲を聞かせていただいた。
古曲あり現代曲ありで、それぞれのすばらしさを表現するというのはこういうことか、とついため息をついて聞き入ってしまった。
いつの日にか、曲を表現することができるまでに上達することができるのだろうか、
あの先輩方を追いかけていけるのだろうかと、不安にもなる。
今は、年に一回、その演奏を聞き、毎日の稽古をしていくだけが、自分にできることである。

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