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ある真夜中 ――― 微かに頬を撫でる夜風に、はふと、目を覚ました。 すると、隣で眠っているはずの恋人、ルシウスの姿がない。 慌てて顔を上げ、部屋を見回すと、 窓辺に腰掛けて、外を眺めている、彼の姿。 「 ・・・どうしたの?寝れないの? 」 ホっと安堵の表情を浮かべ、はベッドを抜け出し、彼の元へ。 月の光の明るい夜で、 ルシウスの湛える美しいプラチナブロンドは、その蒼い光に溶かされる。 シルクのパジャマから透ける、彼の裸のシルエット。 あまりに綺麗で、思わず、心奪われる。 振り向いて微笑む彼に、は駆け寄り、きゅっと抱きついた。 「 降って来そうね、星。 」 夜空を彩るたくさんの光。 今夜は特に美しくて、は彼の顔を見上げて嬉しそうに言う。 するとルシウスは、いとおしそうにの髪を撫でる。 「 可愛いことを、言うものだな・・・ 」 月と星とが、二人を照らす。 心地よい涼風と、人々が寝静まった後の、闇の音。 「 このような夜に眠ってしまうなど、惜しいとは思わないか? 」 突然、ルシウスは窓からふわりと飛び降りる。 慌てても、後を追う。 落ちるのかと思ったら、二人の体は浮いていて。 周りを見渡すと、さっき窓から見ていた星たち。 訳が分からず、はルシウスの腕を取ろうとする。 しかしルシウスは、身を翻してそれを避ける。 愉しそうに、逃げるルシウス。 捕まえようと、必死で追いかける。 二人は、星の海を泳ぐ。 ようやく彼は振り向いて、の手を引き、抱き寄せる。 そうして二人、舞い降りたのは、白く輝く、三日月の上。 優しい光が二人を包む。 次々と、目の前を通り過ぎる、流れ星。 これは夢の中だと、はやっと理解する。 「 目を覚ますのが、もったいないわ。 」 嬉しそうに、が言う。 もう離れたりしないように、しっかりとルシウスを抱き締めて。 ルシウスは、黙って微笑む。 しかしゆっくりと、の腕をほどこうとする。 不安な顔をして、決して離そうとしないに、ルシウスは優しく囁く。 「 このままでは、キスが出来ない。 」 は真っ赤な顔で、そろりそろりと腕をほどく。 そうして、何も言えずに、上目遣いで彼を見る。 そんなの様子を、ルシウスは心からいとおしく感じる。 三日月の上でするキスは、いつもよりずっと、甘いキス。 星たちが、キラキラと二人を取り囲む。 朝が来れば、全てが消えて、夢だと分かる。 だから今だけは、この幸せ過ぎる優しい光に、めいっぱい包まれて・・・・ 夜が明けて、が目を覚ますと、ルシウスはまだ眠ったまま。 はその唇にそっと口付けを落とす。 ――― と、 銀色に輝く彼の長い髪。 その中に、蒼く輝く小さな星屑を、は見つけた。 あれは夢・・・・・? それとも ・・・・・・・ (2003…?)
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