夜の雪
息が白く吐き出す度にからだが身震いする。
夜空を見上げると雪がひらりひらりと降りてゆく。
ふと、君の言葉を思い出す。あの日も雪が降っていたね。

君がそう言ったね。

「夜の雪ってせつなくて好き」

僕もそう思うよ。静かでしんしんといつものように。
毎年毎年、雪は降りてゆく。色あぜもせず。

「雪が自分にあなたのようにやさしく包んでくれるの」

そうだね。
音がない世界を住む人ために神様からプレゼント。
何色も染まらない白い音。
毎年毎年、雪は降りてゆく。記憶は色あぜもせず残る。

明日は銀色の世界だ。