僕はまだ子供だった
それは全くの突然だった
さっきまで元気だった人が
席に戻ってくると倒れていた

周りにはたくさんの人がいた
皆 一様に心配している
ある人は症状を即座に書きとめ
脈拍を計測している

僕はただ見つめていた
邪魔をしてはいけない
何よりまず冷静になること
僕は自分に言い聞かせた

言語障害が起こっている
事態は一刻の猶予も許されない
目の前で確実に繰り広げられる
逃れられない現実

僕は腹が立っていた
何も知らない自分に

僕は怖くなっていた
何も知らない自分に

僕は哀しくなっていた
何も知らない自分に

僕は笑っていた
何も知らない自分を

気がつけば 僕はまだ子供だった