● ヒーロー
間違いなくヒーロー。ヒーローになる人というのは、やはり類希な才能を有し
ていること。凡人にはできないことをやってのける技。凡人が、あたかもその
ヒーローになりきってしまうような錯覚を与えるものだと思う。そんな意味で
ゴルゴもヒーローに違いない。
● リアリティ(劇画として)
描かれてる劇画、すなわち絵としてみた場合のリアリティ。細部にまでよくぞ
ここまでと描かれてる絵。すべてのコマ全部とは言わないが、ほとんど手抜き
がない。エキストラ的存在の人物まで、人相、着衣に至るまでコマが違えども、
一貫性を持っている。風景、人物、建物、備品・・何から何まで手抜きがない。
● リアリティ(話題として)
取り上げられてる話の内容が、東西冷戦、麻薬、スパイ、芸術、スポーツ、暴
力、監獄、戦争、歴史、医学・・・・これらが実在の人物、国、物など現実感
のあるもので構成されていて、世界情勢を含め仮想ではなく現実のものと錯覚
を覚えさせる。
● 技
とにかく、射撃技術、格闘技、語学、体力、知力、忍耐力、自制心、精力・・
どれをとっても超々一流。
● ヒューマニズム
冷血、冷静、機械などと評されるゴルゴがときおり見せるヒューマニティ。こ
れがたまらない。女、子供でも平気で殺す。しかし、ときとして、どうしてそ
んな、と思わせる人間味を見せてくれる。特に死に行く者の依頼に対しては、
考えられないほどのヒューマニティを見せることがある。
● 読み切り構成
一話一話が読み切り構成になっているから、どこからでも読み始め、適当な時
間で読み終えることができる。喫茶店、散髪屋、そこら辺りの食堂などちょっ
と待ち時間があるような場所で一話が読み切れる。
● エロティシズム
読者は皆、男と女。当然男と女のカラミには興味がある。一般的に言えるかど
うかは分からないが、強い男とかわいい女。男は女に惚れられたい。女は一途
に愛したい。こんな図式がいたるところに出てくる。読者は思うかもしれない。
ゴルゴのような男になりたい。ゴルゴのような男を愛したい。叶わぬ恋でも、
命を賭けても。
● 脇役の存在
ゴルゴには、全部といっていいほど、脇役たちの存在が大きく描かれている。
助演男優賞、助演女優賞を与えたくなる人物、物が出てくる。ドラマとしても
十分に成り立つ。
● 謎
ゴルゴという人物の謎の多さ。特にルーツにまつわる謎。ルーツものだけでも
相当数の話がある。いづれも、決定的なものがなく依然謎である。
● 主義、主張、思想、信条、宗教に無関係
すべてから遊離してる。普通人間としていづれかを持ち合わせてるだろうが、
ゴルゴにはそれがない。こうしてみると、すべてを否定してるようにも思える。
人間誰しも、現実生活から離れ、自由に振る舞いたいと思うことがあるだろう。
それがいかに非現実的な思いであっても。
以上を総合してまとめてみると、メディア・エンターテイメントビジネスとして
成功を収めてる「ゴルゴ13」は、エンターテイメントそのものであると思う。
それが読む(見る)側が、どう効果的に活用したかは、それぞれ個々で違うだろ
うと思う。その場限りの娯楽と思う人もあれば、とことんのめり込んでる人もあ
るだろう。個人的には、相当好きであるが、あくまでも娯楽として楽しんでる。
ゴルゴ13は、エンターテイメント作品として超一級だと思う。
長続きの理由=文句無しに面白い。
(1)超人主人公の魅力と謎
(2)超人的テクニック
(3)名脇役たちの存在
(4)話の内容、登場人物、舞台のリアリティ
(5)劇画(絵)としてのリアリティ
(6)あらゆる分野に亘る学問的知識
(7)エロティシズム
(8)オムニバス読み切り構成
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