歯科の雑学

あまり歯科医院で説明しないことを集めてみました。

 レントゲン室に放射性物質はありません
レントゲン装置は、電圧をかけて電子を飛ばし、ターゲットとなる物質に電子をぶつけてX線を発生させています。

 保険診療は、一連の治療については、一度しか算定(請求すること)できません。
歯の神経を取る治療や、歯の内部の感染物質の除去などは一回毎に費用が発生しますが、治療のほとんどは、一連の治療につき、一度しか請求されません。
歯型を2回とっても、1回分の請求です。
麻酔が効かなくて麻酔を追加しても1回分の請求です。(しかし、120点以上の処置は麻酔の点数が含まれているので、麻酔をしてもしなくても、あるいは、どれだけたくさん麻酔を使いしても、費用は増えません。)
 治療内容は通常の方法をとって結果が良くない場合に、他の処置も加わります。
「最初からやっておいてほしい」ということもあるかもしれませんが、治療は可能な限り低侵襲を原則とするので、当初不要と思われた処置を最初からすることはありません。
 最初から強侵襲の治療はしません。
まずは低侵襲の治療から選択する方法が、人体を大事にする治療です。
いきなり抜歯や、神経をとる治療をすることは、根拠がない限りしません。
 どのくらい削るかは具体的に説明できません
かぶせものをする場合など、隣の歯との関係や、かみ合わせのことや、見た目の美しさの観点から、歯は結構削られます。削る量はそれぞれの歯の状況によって異なります。
また、詰め物を日常生活で外れないようにするためにも、基準となる削る深さがあります。
「たくさん削られた」と感じることもあるかもしれませんが、経験と歯科医学に裏付けられた削り量なので、御容赦ください。
基本としては、詰め物の深さは2mmです。
かぶせものは1.0mm以上、特に見た目の美しさを要求される表側は1.5mm以上、前歯の先の尖ったところは2mm程度削ります。口の中の1mmは、見た目にも、舌で触っても、大きく感じます。
 段階に応じて説明していきます
歯周病の治療など、治癒経過を見ながら進めていくので、治癒状況に応じて説明していきます。
もちろん、治療の流れの概要は説明いたします。
ただ、治療経過によっては治療内容が多岐にわたるため、最初から全部説明できない場合があります。
「最初から言ってほしい」という不満に応じられない場合があります。

 フッ素を塗っても虫歯になります。
フッ素は歯質を強化し、虫歯になりにくくするために塗布しますが、食事の内容や摂食方法の不良、ブラッシングの方法等が不十分だった場合には、やはり虫歯になります。
 歯周病の治療は、保険診療のルールに則って行います。
第1段階はブロック単位の麻酔が要らない程度の歯石除去
第2段階は歯周ポケットが深い部分を麻酔下で歯石除去
第3段階は外科的な処置
というのが保険診療での大まかな流れです。
予約なしの突然の来院で歯石除去を希望され、予約なしで帰宅される方は、この流れで治療ができません。
期間があくと、初診に戻るからです。
 スタッフが妙齢のため、お嫁に行くことがあります。
したがって、スタッフがいなくなることがあります。
 治療時間
スタッフが丁寧な治療で患者さんに喜んでいただこうとして時間がかかっている場合があります。
(しかし患者さんにとっては苦痛であることがあります。)
長い時間の処置が苦しい場合は言ってください。
 専門家の知識は有料です。
医師、歯科医師、弁護士など、専門職の知識は有料です。
特に、人体に何も異常がないと判断されて、なにも処置をしなくても、専門家の診断そのものは有料です。
医療機関は人材や設備に費用を投じており、それらを活用しながら専門家として診断しているので、「無料」は例外的なものです。

 治療内容により、診療の順番が来院順とならないことがあります。
歯科衛生士の業務と歯科医師の業務とでは別ラインなので、順番が代わることがあります。
また、消毒のみなど、簡単な処置の場合は先に処置することがあります。
 インプラントがガンの原因になることはありません
 診療時間終了後は、空いていても、開いているわけではありません
従業員に残業を強いるわけにはいかないことと、歯科医療がチームワークであることから、診療は診療時間内に行うことを原則としています。他の患者がいない(空いている)からといって、営業中(開いている)というわけではありません。
 何かすれば必ず良くなるわけではありません
治らないことや、治りにくいものがあります。
また、同様の治療行為を再度やっても改善するとは限りません。
「処置の程度」は専門家の判断に任せた方が無難です。
 どの検査が必要かは、専門家が判断するところです
極稀にレントゲンを撮ってほしいとの依頼がありますが、レントゲンで判ることと判らないことがあります。
それよりも症状を正確に伝えたほうが、正確な診断につながります。
 素人判断は危険
医科で投薬されている薬を、専門家以外の判断で休薬することは危険です(危険というのは死ぬ可能性があるということです)し、どのように治療、処置したらよいかを素人判断することは良い結果につながりません。
入れ歯を自分で削る方がおられますが、専門家から見ると、どんな歯医者でもやらないことをされて入れ歯が台無しになっていることがほとんどです。
 二つの事象が同時に起こったからといって、因果関係があるとは限りません。
治療行為と、ある不具合が同時に生じた場合に、治療行為がその不具合の原因とは限りません。
 簡易な検査で全てが判るわけではありません
医療は簡単な検査からしたのち、必要性がある場合に別の検査をします。
無用な検査をしないようにするためです。
具体的には、レントゲン1枚ですべてが判るわけではありませんし、
血液検査で全てが判るわけではありません。
 すべての歯が同じではありません
似たような治療でも、歯によっては、簡単に終わることもあれば、困難を伴う場合があります。
今まで他の歯の治療が苦痛ではなかったからといって、別の歯も同様とは限りません。
困難を伴う場合があります。

その歯を残すことが、可能かどうか、はっきりしない場合に、「歯が残るかもしれないのに抜く」とか、「とりあえず抜歯」を望む方は少ないのです。
ですから、残るかどうか判らない場合は、説明したのち、残すようにしています。

 治療行為は買い物とは違います
「さし歯にするつもりです」と言われても、根がダメになっていてさし歯にできないことがあります。
また、状況に応じて処置をしていくのが医療ですので、最初の処置で良い結果が出なかったからといって、その後の処置がすべて無料で保障されるわけではありません。
医療行為は結果に対する報酬ではなく、手段を講じたことに対して報酬が発生します。
 あと何回かかって、いくらかかるか説明してほしい
入れ歯の調整や歯の根の治療など、経過を診ながら進めるので、何回かかるかはわかりませんが、小さい虫歯の治療など、回数を数えることができる部分もあるので、治療の進行状況や、口腔内の状況によっては、あと何回か説明できる場合があります。
保険診療は医療行為ごとに算定されるので、費用もあといくらか、診療が進まないとわかりませんが、治療内容や進捗状況や口腔内の状況によっては、だいたいいくらか計算できると思います。保険診療は診療行為ごとに点数化されていて、計算をしなければ具体的な金額がでてきません。
 入れ歯の調整に金がかかるのが納得できない。入れ歯ができたときに金を払ったではないか
保険診療ではその後の調整をする分までは入れ歯完成時に請求されていません。たくさん調整が必要な場合と、そうでない場合とでは、総費用が異なるように保険診療は設定されています。
 入れ歯の調整が必要だなんて、技工士の腕が悪いんじゃないか、なのになんで調整料を払わないといけないんだ、納得できない。
歯型は採った後、変形します。歯型に石膏を流しますが、石膏も変形します。入れ歯は樹脂でできていて、加熱して作りますが、固まるときに樹脂も変形します。したがって、技工士の技量にかかわらず、調整は必要です。
専門家への依頼の仕方
歯科医療に限りません。医師、弁護士その他の専門家に対して、
自分なりに原因を考え、対処法を考え、専門家にこうして欲しいと希望を伝えるのは、あまり良い方法ではありません。
第一に原因を取違えていること、第二に対処法を間違えていることが少なくないからです。
「どういうことで困っているか」を専門家に伝えた方がいいと思います。
天使