拍手ありがとうございますSS「Triggerその後の風景」





「お帰りなさいませ、ご主人様♪」
整った顔立ちのツインテールのメイド少女が、にっこりと笑ってお客様をお出迎えする。
「……営業スマイルとはいえ、見事にハマってるね凛」
「誰のせいよ、誰の」
「バイトの斡旋したのは私だけど、私に借金返済泣きついてきたのはどなたでしたっけ?」
「私よ。短期間で割りの良いバイト探して貰ったのも私。悪ぅございました。だからってこう……もうちょっと他のなかったの?」
バックヤードに戻った彼女をからかう親友に、思わず愚痴をこぼす遠坂凛。そんな凛に軽く肩を竦める赤毛のロリっ娘メイド。
「いいから一週間頑張ってせめて利子くらいは返してね? 親友だからこそ金銭に関してはきっちりいこう? あんまり寝ぼけたこと言ってると沈めちゃうよ、遠坂綺麗だから高値付きそうだし」
さらりと毒のある台詞を吐く彼女は衛宮志保。一部属性に大人気な外見に似合わず、次期藤村組姐さん候補の一人とも噂される人物でもある。
「そっちの方なら一日で借金返せるね。……そうする?」
「こ、此処で結構ですぅ……」
「まったく、付き合って私もバイトしてあげてるんだから文句は言わない、愚痴はこぼさない、お客様は御主人様です、金のなる木には営業スマイルを。貴女の笑みがお金を産むの。OK?」
「お、OK」

「お帰りなさいませ、ご主人様♪……なんだ、桜と美綴か」
「きゃー、先輩、可愛いです」
「うっわー、衛宮。アンタ見事に化けたわねー」
知人二人ににっこりと花が咲くかのような可愛い系の笑みでお出迎えした志保。その志保の姿に大喜びの弓道部の二人。
「ね、ね、写真とっていいですか?」
「申し訳ございません、ご主人様。写真撮影は禁止となっております。そんなことより、目的が違うだろ?」
「お、そうだったそうだった。で、ヤツは?」
「少々お待ち下さい。今お席の方にご案内致します。……君らのテーブルに付けるから容赦なく遊びたまえ」
「くくく、お主も悪よのぅ、衛宮屋。他に誰に声かけたの?」
「いえいえ、お代官様には敵いませぬ。……陸上部の三人。三枝さんにはお世話になってるからサーヴィス。セイバーには来たら奢ってやるって言ったから多分来る。藤ねえも来るんじゃないかな。後慎二」
「うっわー、慎二にまで声をかけたのか。鬼だな、お前」
「兄さんにまで声をかけたんですか。酷いですね、先輩」
「なに、慎二の退院祝いだ。大笑いさせてやろう」

今日から一週間、自分が遠坂凛で楽しむために手段を選ばない鬼、衛宮志保。ロリな体にアクマの心、乙女回路は鉄の色、心も剣で出来ていた。

「な、な、な、さ、桜に綾子……な、なんでアンタ達が此処に居るのよ?」
「違うだろー、遠坂。お客さんだぞ、うちらは?」
「そうですよー、遠坂先輩」

「うんうん、照れ怒りながら屈辱に身を震わせて営業スマイルを浮かべる遠坂は可愛いなぁ」





・チラシの裏側
某生徒会長が冥途喫茶でバイトしている漫画から思いついた小ネタ。なにげに評判が良かった一品。メイドスキーって多いんですね。

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