こうして、俺は摩耗した 〜性技の味方に至るまで・転落編〜





アインツベルン城の廊下を颯爽と歩くアーチャーとその背後におまけみたいに従う俺。
「……しかし、ホムンクルスも奥が深いな……」
ぽつり、とアーチャーが呟く。
「ああ、そうだな」
心の底から俺は同意した。まさか……まさか生えるとは。
「サーヴァントは基本は霊体、加工して何とか生やせないものか……」
かつて無いほどに真剣な顔で考え込むアーチャー。いつもそう言う顔なら……って、考えている内容が問題だろう!
「――いや、止めてくれ」
もしそうなったらお前、俺の背後の純潔を狙うはずだし。
「いやいや、その時はあの金のょぅι゛ょから女に変われる宝具をパチって、マスターを女体にするさ。そして君も生やして共にみ○くら世界に旅立とうではないか」
「その時は令呪使ってでも止めるぞ、俺」
というか、みさ○らって何さ?
「で。あの金のょぅι゛ょ相手にどうするんだ、お前?」
あれは普通の手段で勝てる相手ではない。そもそも、単騎で大軍を相手には戦えない。あのょぅι゛ょはそういう存在だ。
「ま、なんとかなるだろう」
俺の疑問に、軽く肩を竦めて答えるアーチャー。

話しながら廊下の角を曲がる。とその先には、きょろきょろと辺りを見渡しながら、泣きそうな顔の金ょぅι゛ょが居た。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……迷子か?」
「ま、迷ってなどおらぬ! オ、我はただ、その、あの……そ、そう、お手洗いを探していただけなのだ。決して、誰も居なくなって何処を歩いているのか分からなくなって寂しかったりなんかしていないぞ!」
ぎゅっと目尻を拭い、顔を真っ赤にして叫ぶ金ょぅι゛ょ。
「……あー、時にょぅι゛ょ?」
口火を切るアーチャー。
「な、何だ? 命乞いならもう遅い。我が死を命じたならそれは絶対だ」
尊大さを取り戻してその薄い胸を張る金のょぅι゛ょ。ああ、何て言うか……背伸びしている感じが微笑ましい。そうか、これが……“ょぅι゛ょ萌え”というものか。
「まぁ、少し話を聞きたまえ。君は気が付いているのかね? 自分の精神がその肉体に流されていることを。前回から残っているのなら10年近く、その肉体で過ごしているのだろう? しかも令呪の縛りで元には戻れない」
「う……」
アーチャーの台詞に金のょぅι゛ょは明らかに狼狽して言葉を飲み込んだ。
「段々と自分がょぅι゛ょ化しているのに……気が付いて居るんだろう? 最初の頃は、そんなゴシックでロリータな少女の衣装など着たくも無かったのでは? けど、今の君はそれが当然のように着こなしている。時々感情が幼児化しているとは思わなかったかね? 言葉使いとか思考がオンナノコしているとは? それに気が付いたからこそ、君は聖杯の力で元に戻ろうとしているのでは……ないのかね?」
「う、五月蝿い! 貴様の手段は分かっているぞ、この詐欺師が。戯言で煙に巻くその手法、王たる我の前では無意味と知れ。そろそろ道化は退場の時間だ!」
誤魔化されるものかとばかりに、がーっとまくし立てるょぅι゛ょ。そんなょぅι゛ょに向かってにっこりと笑みを浮かべたアーチャーは、
「その道化の戯言を哂って受け流せないとは……、王様、度量狭ぁーい♪」
などと可愛らしく言いやがりました。
「こ、この痴れ者がぁ! ――貴様には百万の死ですら生温い。我が剣によって肉片一つ残さず塵に還してくれる!」
アーチャーの小馬鹿にした態度に、顔を真っ赤にした金のょぅι゛ょは、背後の空間からずるり、と奇妙な長剣を引きずり出す。
彼女自身の体と比べると不釣合いな大きさのソレは、はたして剣といって良いのかどうか。刃はついておらず、ただ重なった三連の円筒がそれぞれ逆方向に回転している。
「――ドリル?」
「――ドリルだな」
しかしあれは拙い。あの剣は拙い。ちらりと横目でアーチャーを見た。どうやらこいつも気がついている。奴の金のょぅι゛ょを見る視線は、罠に掛かった獲物を眺めるそれだ。
「起きろ、エア!」
金のょぅι゛ょの呼びかけに目覚めるかのように、剣の回転部の勢いが増加する。連結部に巻き込まれていく空気の流れ。あー、止めたほうが良いぞ、ょぅι゛ょ。
俺の哀れみの篭った視線に気がつかず、ょぅι゛ょはその剣を振りかぶろうとし……その回転部の勢いに耐え切れずに見事にすっころんだ。ギュインギュイン回る剣はその手からこぼれ、床の上で耳障りな音を立てつつ転がっていく。ああ、やっぱりな。あの体であんな大きな電動工具なんか使えるわけないじゃないか……。
「あ、あれ?」
床に倒れて天上を見ながら、何が起こったのか分かっていない金のょぅι゛ょ。その姿に邪悪に唇の端を歪める赤い英霊。
「ちゃーんす!」
中空に突如現れた荒縄がょぅι゛ょの左足に絡みつく。
「キャッチ!」
続いて右足を絡めとらんと皮のロープが奔る。
「ク、エルキドゥ!」
どこからともなく現れた鎖が、右足を狙う皮のロープと絡まりあう。でも抵抗はそこまで。
アーチャーの手が宙を彷徨い、何かを引っ張る動きを見せる。その動きと連動してょぅι゛ょの左足の荒縄がピンと張られ……。
「アーンド、フィ〜〜〜〜〜〜〜〜ッシュ!」
ズル、ゴン、「みぎゃ!」
解説すると。最初のズルがょぅι゛ょの体が引きずられて宙に持ち上がる音で、次のゴンは、足が持ち上げられた結果当然頭が下になる訳で、自分が一本釣りされるとは思っていなかったょぅι゛ょが勢い良く床に頭突きを打ち込んだ音で、最後の「みぎゃ!」がその時ょぅι゛ょのあげた悲鳴である。
涙を浮かべのたうつょぅι゛ょ。足を上にした状態で宙吊りになったまま暴れたせいで、その豪奢なワンピースが引力に従い、高そうなレースのスリップもそれに従い、その下の白い肌を包みこむ、小さな白いシルクの絶対領域とか可愛らしいおへそとかさらにその先の下着の必要の無いなだらかな地平線とか、よし、もうちょっとでそのなだらかすぎる丘陵の秘密の頂が!
「わ、わわ、わわわ」
自身の視界に入った白い布地に気がつき、わたわたとょぅι゛ょの手がワンピースを腰の辺りまで押さえつける。チェ、惜しい。
「さらにトレース・オン(緊縛開始)♪」
トドメとばかりのアーチャーの不穏な台詞と同時に宙に現れる口枷、手錠、足枷、レザーバンド、ゴムバンド、縄、鎖、鉄の棒、等々。それらが一斉に金のょぅι゛ょに襲いかかる。そしてあっという間に十重二十重にいろんな物に押し包まれた蓑虫っぽいょぅι゛ょが完成した。
「というか……今の、本文と訳文が大幅にずれて無かったか?」
どうやったらそういう訳になるんだよ?
「気にするな。瑣末だ。さて……ということで、ょぅι゛ょ。名前を教えてもらえるかね?」
「ンー、ンー、ンー」
「ほう、教える気が無い、と。そうなると体に聞くしかないわけだが……さてさて」
大まじめな顔つきのアーチャー。ただしその視線はイヤな感じに粘つき、両手はわきわきと怪しく蠢いている。
「ンー、ンーーー、ンーーーーー!」
「どうやらどこかの王様だったようだが……、他人の処○を散らしたことはあるかもしれないが、自身の処○を散らすのは初めてかね?」
「ン!」
逆さまのょぅι゛ょの顔がその台詞に恐怖に歪む。というか、さすがに痛々しいしそろそろ止めるか。
俺は■■■から武器を引きずり出すと、アーチャーのいい感じで沸いている脳天に叩きつけた。パシーンといい音を立てるハリセン。やはり突っ込みにはこれだろう。
「な、何をする、マスター!」
「とりあえず、児童虐待してんじゃねー。大体、口枷してて喋れないだろ?」
「えー、銀が駄目ならせめて金のょぅι゛ょくらい味見しても良いじゃないか。大体敵だぞ、襲ってきたんだぞ、しかも元は男だぞ、ついでに大人だったんだぞ? マスター、貴様は甘すぎる」
「でも今は子供だろ。いいから少し黙ってろ。まぁ、もし鉄のょぅι゛ょを拾ったら好きにして良いから。……ごめんな、怖い思いさせて。ただ話し合いをしたいだけなんだ」
俺はょぅι゛ょを怖がらせないよう微笑みながら彼女の口枷を外してあげた。
「アーチャー、せめて頭を上にしてあげてくれ、これだと頭に血が上ってまともに話が出来ないだろ?」
俺の台詞に、ふてた顔を背けたまま、それでもぐりん、とょぅι゛ょの天地を一転させるアーチャー。いや、ふてられてもなぁ。どう見てもお前が悪いと思うんだが。
「ごめんな、苦しかったか? すまない、あの馬鹿がやりすぎて」
ぐしゃぐしゃに乱れたょぅι゛ょの柔らかい金の髪を俺は軽く整えてあげた。そんな俺を奇妙なものでも見るかのように見つめる金のょぅι゛ょ。俺と目が合うとぱっと視線をそらすが、またちらちらと俺を横目で観察している。
「?」
「な、なんだと! マ、マスター、貴様……いつの間にそんな高度な技を! 馬鹿な。銀のょぅι゛ょのみならず、金のょぅι゛ょとまでフラグを立てるつもりか! く、恐るべしは洗脳拳!!」
俺の背後で驚愕の叫びをあげるキ○ガイ。
「いや、アーチャー。俺にはお前が遠すぎて、何を言っているのか分からない……」
こいつのぶっとんだ思考回路が理解できるようになったら色々終わりの気もするし。
「ふむ、民明書房のとある一冊にこうある。伝説の洗脳拳の奥義、撫手崩、尼姑崩。前者はただ頭を撫でることで相手を虜にし、後者はただ微笑むだけで相手を虜にすると言う。失われたはずの覇麗夢派暗黒洗脳拳の源流技をなぜお前が!」
「いや、それ嘘だろ?」
「ああ、嘘だ」
さらりと流す赤い馬鹿に俺はかなり目眩を感じてしまった。まったく、なんでったって俺のサーヴァントはこんな奴なんだ。どうせならセイバーみたいに真面目な娘とかライダーみたいに話の分かる控え目な大人の女性とかが良かったのに。まったくコイツときたら、不真面目だし、享楽的だし、マスターをマスターとは思わないし、人の不幸が好きなだけでなく、人を不幸に陥れるのも好きだし、女好きだし、Sだし、助平だし、変態も入ってるし、胸はでかいし、尻も美しいし、太もものラインときたら、ああ! ああ!!  だし、時々ゾクリとくる良い声で啼くし、閨技はテクニシャンだし、○○○の■■具合は▲▲だし、□□□の▲×▲にいたってはもう●●●だったり、実にこう、何て言うか……なんて素晴らしいサーヴァントを引き当てたんだ、俺! みたいな。
……あれ?
かつて無い自己嫌悪が俺を襲う。なんてこった、自然な感じにアーチャーみたいな考え方にすり替わっていくとは。このままではいけない。正義の味方どころか、駄目人間一直線じゃないか。
「……その、なんだ。雑種。我に話があるのじゃなかったのか?」
突然に落ち込んだ俺に何を感じたのか、恐る恐る金のょぅι゛ょが俺に話しかけてくる。
「あ、ああ。悪い、ちょっと落ち込んだ。何でアレが俺のサーヴァントなんだろう、って……」
そんな俺の呟きに、ょぅι゛ょは心底同情の視線を浮かべた。
「あー、その、なんだ。……運が無かったな」
しみじみとした同情の台詞が胸に痛い。敵の、しかもょぅι゛ょにまで同情されるとは……なんだろう、眼から汗が出そうだよ。
「何か失礼な共感があったみたいだが、話を進めるぞ。マスター」
口を挟むアーチャーに警戒心バリバリのょぅι゛ょ。その視線は殺気に満ちあふれている。
「雑種。そこの下賤な道化の言葉を通訳せよ」
ツン、とアーチャーから顔を逸らし、俺に向かってそんな言葉を言うょぅι゛ょ。うわー、そう言うこと言うか? いつもの皮肉げな笑みのアーチャーの額にもさすがに青筋が立っている。
「とりあえず、名前を聞かせてくれないか。何時までもょぅι゛ょと呼ばれるのも嫌だろう? あ、俺の名前は衛宮士郎。そこの赤いのがアーチャー」
「……我はギルガメッシュだ」
「……ほう」
「知っているのか、アーチャー」
「ああ、金色の鎧を着て、60階立てのギミック一杯の塔に登るマゾヒストの名前だ」
……それ、何て懐ゲー? 俺とょぅι゛ょ――ギルガメッシュの微妙な視線に、ややたじろぐアーチャー。
「な、ならどこぞの召喚獣ということでどうだ。ほら、サーヴァントだって召喚されて現界するわけだし」
「いや、俺はライバルキャラだった頃の方が好きだし。じゃなくて……いや、良いや。後で遠坂にでも聞く」
これ以上微妙なネタに走られても困る。
「まあ、良い。さて、令呪の縛りで元に戻れないのなら君のマスターを倒してしまえば良い。その上で元に戻り他のマスターと契約すれば良かろう? 君が望むなら我々が君のマスターを打ち倒そう。もちろん、君に危害は加えないし、他のマスターと契約するまでは手を出さないと確約しよう」
コホン、と咳払いを入れてから珍しく建設的な意見を言うアーチャー。
「……」
「……」
「……」
アーチャーの台詞にそっぽを向いたままのょぅι゛ょ。あくまでアーチャーの台詞は聞かないことにする気らしい。アーチャーの口元がぴくぴくと引きつり出す。
「あー、その、そう言うことでどうだろう、ギルガメッシュ?」
「――ふむ。一考の余地はあるが……その、少し問題があるのだ」
俺の方に視線を戻し、考えながら言葉を紡ぐょぅι゛ょ。
「その、だな。……我の今の姿は幼年期にまで肉体を逆行させるものと性別を入れ替えるものの二つを使っている訳なのだが。その……両方を言み、もとい、我のマスターが……」
ギルガメッシュはちょっとだけ視線を彷徨わせた。
「……根こそぎ持って行きおった」
「最悪だな」
「ああ、最悪だ」
炉利がそんなものを持ってしまったら、そしてそれがもし量産されたなら……世界は終わる。いや、新生してしまう。『ドキ、ょぅι゛ょだらけの新世界・はぢめてのょぅι゛ょ化!』
「それも良いな」
「アーチャー、自害するか?」
「……冗談だ。つまり、マスターを倒しても年齢はともかく、性別の方は戻れない、ということか。だから元に戻るには聖杯が要る、と」
ふむふむ、と何か考え込むアーチャー。
「それなら安心したまえ。元に戻る手段は有る」
「それは本当か! ……と、そこの卑女に聞くがよい、小僧」
がぉーっと叫ぶギルガメッシュ。だがそんなょぅι゛ょに対し、アーチャーは明後日の方向を向いてしまう。
「可愛げの無いょぅι゛ょに教えられることは何も無いな」
「うわ、大人気ねー」
「ぐ、ぐぬぬぬぬ」
ギリギリとょぅι゛ょが歯軋りをする。
「――あんまり可愛げが無いと可愛くなるまで調きょ、じゃない、躾をしたくなるかもしれんが」
さらにだめ押し。そんなアーチャーに悔しそうに顔を歪めるょぅι゛ょ。
「……お、おしえるが良い……」
「聞こえないな」
我にそれを教えるが良い! その話が本当ならそちらの条件を呑んでやる。もとより、今の我に他に聖杯に願う願いなど無いからな!」
「くくく。ま、今はその程度で良かろうさ」
邪悪なまでに満足そうな笑みのアーチャー。コイツ最悪だ。
「――中国の青海省、バヤンカラ山脈の拳精山という所に伝説の泉が在ってな。そこで溺れた者はみな男の姿になってしまうと言う……」
「なんと!」
「最も、お湯をかぶると元に戻ってしまうのだがな」
「意味ねぇじゃん、それ!」
俺の突っ込みににたりとアーチャーが笑う。
「そこでこれの出番だ」
ファンファーレと共に、アーチャーの手に小さな桶が現れる。
「これで水をかければ、その姿を固定化出来るという素敵アイテム……レプリカだが機能に遜色は無い」
「つまり、その中国の何とかとか言うところの泉にいってそこでその桶を使えば……」
「そう、元に戻れる」
「……」
「……さて、どうするね金のょぅι゛ょ?」
ニィ、と唇を吊り上げ、契約を迫る悪魔がそこにいた。





色々と疲れた俺は、アーチャーを伴ってアインツベルンの城から外に出た。
ちなみに金のょぅι゛ょは俺の背中の上に鎮座していらっしゃる。俺達の歩幅に合わせることが出来ず癇癪を起こし、
「雑種、いや、シロウとか言ったな。汝に我の騎馬代わりとなる栄誉をやろう! とりあえずしゃがめ!」
と言い出し、そして俺の背中に飛び乗ったからだ。そこからは何故か上機嫌に、俺の後ろで鼻歌まで歌っていた。しかし何故某魔法少女の主題歌なんだろう? たしか無限妖精カレ○ドルビーとか言ったっけ。

と、なぜか外ではビニールシートがひかれ、優雅にお茶なんかしてる最中だった。
お前ら何しに来やがった?
「お、戻ってきた。チ、奴はまだ生きてるわね。……って、衛宮君。アンタなんてもの背負ってくるのよ!」
「いや、遠坂。色々突っ込みどころが多い状態だが、何からどうすれば良いのか俺にも分からん」
主にお前ら一体何やってんの? とか。
「ふむ、彼女は我々に協力してくれることになった」
さらり、とアーチャーが発言をする。
「な、ア、アーチャー。アンタまたしても新たな毒牙に……」
愕然とした遠坂の台詞。セイバーも気の毒そうに俺の背中のょぅι゛ょに眼をやり、そのご機嫌な様子に首を傾げる。
「……それにしては機嫌が良さそうですが?」
「凛、あまり人聞きの悪いことを言って欲しくないな。今回私は指一本とて彼女には触れていない」
「ええ! アーチャーさんがオンナノコを襲わないなんて! どうしたんですか、何処か調子が悪いんですか?」
「桜……君な……。あー、随分失礼な事を言っているようだが。今回は我がマスターの手腕だ。私はほんの一寸口を動かしたくらいだよ」
「……」
「……」
「……」
「……坊や」
キャスターがしみじみと俺に哀れみの視線を……って何故に? 見渡すと、他のみんなもなにかこう……汚れ物を見るような目で……え?
「……士郎、わたし誤解してた。てっきりアンタは被害者側の人間だと思っていたのに……まさか、アーチャーと同類だったなんて……いえ、それより悪いわ。まさかペドだったなんて」
深々とした溜息と共に遠坂が洒落にならない事を口走った。
「いや、待て。待ってくれ」
「炉利魂性犯罪者と話す言葉は無いわ!――そうよね、サーヴァントはマスターと縁のある存在が呼ばれると言うし。……そう、まさか、変態繋がりだったなんてね」
「ええ、私もシロウを見損ないました。アーチャーに色々されていても、心の奥底ではまだまっとうな人間で在ろうとしていると思っていたのですが」
蔑みの視線が痛いよ、セイバー。そんな状況に桜が声をあげた。
「待って下さい、姉さん。先輩は炉利魂なんかじゃありません!」
ああ、桜。お前だけは俺の味方で居てくれ……
「先輩は炉利もおっけーな広い守備範囲の持ち主なだけです! 姉さんやセイバーさんみたいな貧な人だけじゃなく、私やライダーやアーチャーさんみたいにおっきいのだって大好きなんですから!」
おもに舐めたり吸ったり揉んだり挟んだり、とか危険なことを口走る桜。お前も俺の敵か?
「――桜、アンタにちょっと話があるわ。とりあえず一回アンタとはきっちり色々と決着とかケジメとかつけておいた方が良いみたい」
「――ええ、私も一度、姉さんとは色々とお話とかその他とかしておいた方が良いと思ってました……」

――とりあえず家に帰ろう。ここはもうまっとうな人間の居て良い所じゃない。










何か忘れてるような……? ま、いいか。思い出せないのならたいしたことじゃないんだろう。


















「あらあら、皆様お帰りになられる見たいですよ、ライダー様。置いてきぼりとは、要らない子なのでしょうかね。でもご安心下さいませ。ライダー様でしたら何時まででも此処にご逗留頂いても構いませんから」
「ンムッ……ン!」
「お口が止まってらっしゃいます。さあ、どうぞ続けて下さい。……それともアレをもう一本増やした方が宜しいでしょうか? ああ、でもそれでは我慢できなくなりますね。もし粗相をなされたらライダー様の汚された床はそのお口で綺麗にして頂きますから。――では、私をイかせることが出来たらお手洗いにご案内致しましょう。さ、続けて下さいませ」
「……セラ、怖い」
「何かおかしなものに目覚めちゃったわね……」





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