・注意 このSSは、主人公性格改変、性別変換物です。さらに、落ちは生理的に受け付けない人も居るでしょう。有る意味地雷ですから駄目な人はお帰り下さい。
衛宮志保の歪み
その瞬間、私は死を覚悟していた。
もちろん私、衛宮志保としては、生を諦めるつもりは全く無かったし、さっきから全力でその運命から抗ってはいた。しかし、なにぶんこの身は10年前にとことんまで死に近づいてしまっている。この目の前の“死”が奇跡でも起こらない限りは避けようも無い結果であることもまた理解していた。
10年前に救われた命。それを今失ってしまう。あの日から全力で突っ走ってきたのが、今終わる。
『ごめん、親父。私ここで止まってしまうかもしれない』
5年前の約束を果たせない。それだけが無念。でもまぁ、死の覚悟なんてものはいつだって私の身近にあった。それこそ、なにをいまさら、だ。
体はもう、戦闘が出来るほどに動かせない。今この時までの時間を稼ぎ出せただけでも十分すぎるだろう。それでも私は諦めない。最後の瞬間まで、私は私を張り続ける。土蔵の床に座り込んだ状態のまま、私は私は朦朧とする目で目の前の変態青タイツを睨み付けた。
「まったく、もったいねぇ。こんな先の楽しみな女を殺さなきゃならないとは、ついてねぇ。もしやとは思うが、お嬢ちゃんが七人目だったのかもな。ま、だとしてもこれで終わりな「お嬢ちゃんと呼ぶな」ん?」
私は目の前の青タイツのふざけた台詞を遮った。最後まで抗う。決して諦めてなんかやらない。心まで折れてなんてなるものか!
「ククク、ますます惜しいな」
私の心臓に狙いをつけたまま、ぴくりともぶれない赤い槍。ソレが動いた瞬間が、私の最後。それで終わり。
「そんな終わり……」
認めるかぁっ! 槍が動く。私は目を見開いて槍の動きを凝視した。
その時、唐突に土蔵の中が光に包まれた。槍の穂先を見失う。
「え!?」
光の中、私の背後から”何か”が一閃した。甲高い音とともに、目の前の青タイツの槍が反らされる。
「まさか、本当に七人目だっただと!?」
体勢を立て直す青タイツに向かって私の後ろから小柄な影が踏み込んでいく。
一閃。
手にした“何か”の一閃で青タイツは後退させられた。狭い土蔵で戦う不利を悟ったか、土蔵から飛び出していく青タイツ。
そして、青タイツを追い払った影は静かにこちらに振り返った。
「……は?」
ここまでの異常な状況ですでに飽和していた私の脳は、今この瞬間、ついに決壊した。
私を救ってくれた小さな影、それは。
月の光をを背後に従えて、無骨な鎧に身を包んだ、凛とした小柄な少年だったのだから……。
「問おう、貴方が私のマ「金髪美少年萌ぇーーーーーーーーーーーーッ!」」
「……」
「……」
「……失礼、続けて」
衛宮志保の最大の歪み。それは重度のショタであるということであった。
続かないっ!
いや、本当に続きませんから。
チラシの裏
実のところ、TS物の処女作です。主人公女性化、セイバーが少年もの、というネタでの再構成からの自爆派生物。中編とか長編にしなかった理由は、お茶屋がショタについていまいち詳しくないからです。分からないなら調べろ、という突っ込みは無しで。人間、知らないで良い世界も有ると思うんですよ。というか思わせて下さい。
初出は某掲示板の某投稿板。