こうして、俺は摩耗した 〜性技の味方に至るまで・陰謀編〜




最近、先輩がおかしいんです。
いつも疲れた顔で、眼は落ちくぼみ、頬は痩け、肌は土気色に乾き、髪には白いモノが混じりだしています。
朝、私が朝食を作りに行くと、
「おはようさくら、ああ、たいようがきいろいなぁ」
なんて言いながら赤ま○しドリンクを5本ほどチェーンで飲んでいたりしています。

他にも、何故かティッシュペーパーの買い置きが無くなっていたり、畳や壁になにか掻きむしった跡が在ったり、お風呂場に×××や○○○○が転がっていたり、何故か天井に何かをつり下げる為にあるかのような金具が取り付けられてあったり、お手洗いのくず入れに明るい家族計画(使用済み)が捨てられていたり、先輩の布団のシーツに血の跡が残っていたり、その跡を見つけた前の夜から姉さ、もとい、遠坂先輩が先輩の家にずっと泊まり込んでいたり、……いえ、分かってます。分かってるんです。
ええ、この家に今漂っているエロい空気はつまりそう言うことなんですね。
あの赤くて白い髪の女の人がこの家に現れてから、おかしくなってしまったんですね。私をエロい眼で見つめるあの人が。
なんてうらやま、じゃない、卑劣なことを。
きっとあの女の人や、遠坂先輩や、遠坂先輩と一緒にいる金髪の娘がよってたかって先輩を嬲りものにしたんですね、ええそうに決まっています。じゃないと、あの私がいくら自然な感じに誘いをかけても気が付かない先輩がそういう風になるわけがありません、というかそうじゃないと私が哀しすぎます魅力がないってことじゃないですかそれとも先輩は貧乳じゃないとだめなんですかナイチチマンセーですか炉の人ですかでもあの赤い人は私と同じくらいかそれ以上に大きいからきっと巨乳属性あるはずですとなると私にもチャンス?
ああ、思考がぐるぐると回ってしまいます。
でも、あの赤い人は良くないモノです。私には分かります。だってアーチャーって名乗ったんだもの。
「そうよね、ライダー?」
「ええ、彼女はサーヴァント。間違いありません、サクラ」
そう私のサーヴァントが教えてくれました。先輩と戦うのが嫌だからライダーを兄さんに渡してしまってましたけど、あのアーチャーさんと戦う事になるのならライダーの力は必要なのです。だから兄さんを誠心誠意説得してライダーを返して貰いました。その代わり兄さんには影の中で素敵な感じに気持ちよくなって貰っています。
「やっぱり兄さんはヘタレ受け属性だと思うんだけど?」
「ええ、マッチョなタフガイに組み伏せられて泣き叫ぶのが似合うと思います、シンジには。出来れば複数に」
こんな感じに。
ということで、私は頑張って、先輩をこの家から救いだそうと思ってます。そしてあわよくばゲットです! そして私とライダーしか居ない間桐の家で三人で幸せに暮らすんです!!
「儂もおるんじゃがのぅ」
「ああ、居たんでしたっけ。ではプチッとな」
これでOKです。

やっぱり、爛れた生活に対しては家庭的な包容力で攻めるべきだと思うんです。
ということでこれです。フリルの付いた可愛いエプロンです。純白ですよ純白。早朝、先輩が朝食を作りに来るより早くから台所にスタンバって戦闘準備です。
「サクラ、さすがにそれはやりすぎでは……」
「何いってるの、ライダー! 相手はあの三人なんだから。このくらいはやらなきゃ勝ち目なんか無いの!」
「ハ、ハァ」
ああ、ドキドキします。やっぱり男の人には裸エプロンですよね?
ガタン、ゴトゴト、ずるずる……。
ああ、先輩が起きてきました。最近は疲労のあまり、体を引きずるようにして歩いてくるのです。よろめく先輩を私がそっとささえてあげたい。でも我慢よ、桜。全ては決戦の時のために!
「……さ、桜!」
台所に来た先輩が、私の姿に息を呑みました。
「せ、先輩……わ、私」
頬を染め、恥じらいの表情も初々しく。……ってアレ? な、なんですか先輩、その哀れみの籠もった視線は? え、え! どうして深々と溜息なんかついて私の肩に両手を置くんですか? あれ?
「桜。……まさかお前まで……クッ……アーチャーの毒牙にかかるなんて。そんな破廉恥な格好までして……………クゥッ〜〜〜」
え? ええ!? な、何で? って言うか、何で先輩は男泣きに泣いているのですか!?
「ま、護ってやれなくてすまん、桜。でも、でも……」
ぐいっと涙を拭う先輩。
「俺はもうこんな爛れた生活はイヤなんだ〜〜〜〜〜〜〜〜!」
そして先輩は脱兎の如く台所から走り去ってしまいました。
「って、何でなんですか〜〜〜〜〜〜〜!」
私の叫びも空しく、遠くから先輩の声だけが聞こえてきます。
「お、俺の安息の地は、もはや藤ねえだけなのかぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
藤村先生が安息の地に感じるのは人間としてどうかとおもうのですが、じゃなくて。
「なんでそんなにヘタレなんですか先輩ーーーー!」
据え膳ですよ、据え膳。巨乳の妹属性の後輩ちゃんの据え膳から逃げるなんて……。

「ククク。やれやれ据え膳から逃げるとは。まだまだだな」
何時から居たのか、皮肉そうな笑みを浮かべてアーチャーさんが現れました。コイツが私の敵です。
すっと、私を護るかのように私の目前に実体化するライダー。そして私はアーチャーさんに疑問を投げかけました。
「貴女が……貴女が先輩を誑かしたんですね」
「ああ」
「貴女が、遠坂先輩を、その、衛宮先輩と、ナニさせたんですね」
「ああ」
「あの金髪の女の子も」
「ああ」
「毎夜の狂乱に先輩が疲弊しきっているのも、貴女のせいなんですね、アーチャーさん!」
彼女は表情を変えずに頷きました。私の質問なんて予想していたかのように。
「そうだ。それらは全て、私がこうなる事を望んで行なった事だ。ここまで上手くいくとは思わなかったが」
「どうして―――なんのために、そんな事を」
呟くような私の台詞にニィ、と唇を吊り上げるアーチャーさん。
「剣の丘で孤独な勝利に酔うよりは、エロスの地平で狂乱に舞うほうが楽しいし建設的だからだろうよ。エロは人間を救うんだよ、桜。正義の味方などよりずっとね。昔の偉い人も言っただろう? 『産めよ増やせよ地に満ちよ』 そう、エロは正しい」
電波です。真性の電波が届いています。しかも、さらにその電波な人は、
「しかし、藤ねえに逃げ込もうとするとはまだまだ甘い。彼女はすでに陥落済みだというのに」
などという電波な台詞をおっしゃいました。。
「え?」
彼女は、今何て行ったのでしょう? あの藤村先生を陥落済み、と。
「ああ、彼女はすでに調教済みだ。アレで彼女は可愛らしい声で啼くのだぞ。フフン、今頃、私のマスターは虎に喰われているころだろうよ。本能に目覚めた虎は怖いな」
怖い。目の前に居る彼女がたまらなく怖い。“あの”藤村大河を調教しようと考え、しかも実行してしまうとは。けど私は恐怖を押し殺し、彼女と対峙します。先輩とのスィートなライフの為にも。
「ところで話は変わるが、……桜、私に調教される気は無いかね?」
「……はい?」
えっと、アーチャーさんは、今、何て、言ったのかしら?
「アーチャー、貴女は……」
すっと前に出ようとするライダーを、アーチャーさんは手で制しました。
「話は最後まで聞いた方が良いと思うがね。まぁ、なんだ。遠坂凛、彼女は士郎にヤられたわけだが」
くっ、やっぱりねえさ、じゃくて、遠坂せんぱ、ええーい、もう、面倒くさい。姉さんは先輩とヤっちゃんたんだ。どんよりとした私のオーラにか、引いてしまうライダー。そして何故か嬉しそうなアーチャーさん。
「そうなるように仕向けたのが私だよ。凛が自分の口から“お強請り”するまで徹底的に襲って嬲って寸止めて焦らして狂わんばかりまで追い込んだ訳だ」
「ク、なんてうらやま酷エロしい」
わたしのたいせつなたいせつなねえさんになんてひどいことをするんだこのひとはこんちくしょーうらやましいなんておもってないものどうせわたしはよごれですくろいですえろたんとうですくすくすわらってごーごごー。
「サクラ、黒くなってます、黒くなってます!」
「あ、ごめん、ライダー。でもまずはこの赤いのヤっちゃうから」
「本題はここからなのだがね。聞かんと後悔するぞ。まぁ今の話を踏まえて最初に戻るのだが。桜、私に調教される気は無いかね?」
まだ言いやがりますか、まったくくうくうおなかがなりました。とりあえず喰うことにしましょう。
「つまり、……合法的に士郎とヤれるぞ。しかも私に調教されたということにすれば初回から乱れまくれることも可能。しかもその場合、オプションで士郎の憐憫も誘えるのだが? まぁ、それでも君が戦闘を望むのなら仕方がな……」
「仲良くしましょう、アーチャーさん。私、貴女とは良い関係が築けそうな気がします。ええ、なんでしたらライダーだって付けちゃいます。ライダーってこれで結構可愛いんですよ?」
がっしりと私はアーチャーさんの手を掴んでぶんぶんと振り回しました。ええ、彼女とは仲良く出来そうです。だって、こんなにいいひとなんですもの。
「な、ちょ、サ、サク、な、何を、サ、サクラ」
「ふむ、では取引成立かね?」
そういってアーチャーさんはいつもの皮肉っぽい笑みではなく、とても爽やかな微笑みを浮かべました。あ、ちょっと先輩に感じが似ています。思わずどきっとしてしまいました。
「あ、でも、私、女の人とは初めてなんで、その……」
「私は何時だって優しいさ」
背後で逃げようとしたライダーを私の影が縛り付けます。さらに突如中空から現れた縄とか手錠とか首輪とか口枷とかがライダーの体を拘束していきます。まぁ、とりあえず転がしておきましょう。
そして私は適当な部屋に連れ込まれました。
「きゃ〜〜〜〜〜〜〜♪」


(濡れ場は省略されました・・全てを読むにはここを押してください)






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