フルスクラッチで原型ができるまで

基本編その7

製作手順
28 くちばし別パーツ化
 くちばしが少し開いたようにするため下側を別パーツ化したいので,
おゆまるで型を作ります。
 おゆまる型にポリパテを詰めます。
 頭パーツはくちばしの下側を削り落とします。
 おゆまる型に詰めたポリパテが完全硬化したら型から取り出します。
 上の写真の物を削って大まかな形が出せた状態。
 慎重にすり合わせます。
29 みみ
 これまでの頭。
 頭の幅が広すぎて正面から見るとカッコ悪かったので、
修整してしぼり込んだ状態。

 上の写真と比べてシャープな感じになりましたが、
悲しいかな目はまた彫り直し。
 削り出したみみパーツ。
 セロハンテープで固定してバランスを見るとこんな感じ。
30 頭仕上げ
 目と鼻の穴を彫り直し、加えて頬にスジ彫り。
 みみを接着。 
 みみのスキマをパテで埋めた後に形を修整。

 みみが完成したら印象が変わって、
目の周りがあっさりしすぎな感じだったので修整。
 すべての修整を終えたのでくちばしの中を彫り込み。
 サフを吹いて頭完成。
31 原型完成
 頭の修整によっては胴の修整もあり得たので、
控えていた胴へのサフ吹き完了。

 胴以外にサフを吹いていなかったパーツにもサフ吹き。
 ついに原型完成!
でも、原型のため接着できないのでセロハンテープで固定。

 せっかくの機会なので、
この原型をレジンキャストキットにしたものを組み立てるまで続けます。
レジンキャストキット(ガレージキット)の作り方
a パーツ洗い
 ほとんどのガレージキットはキット表面に離型剤が付着しています。
自分でシリコーンゴム型にレジンキャストを流す場合にも、
離型剤を使うのが無難なので、表面に離型剤が付着します。
そのため、離型剤をきれいに洗って落とす必要があります。
ここで手を抜くと塗装がはがれてしまいます。

 私のパーツ洗いの手順は以下の通りです。

    M・ウォッシュに5分浸けた後、乾燥。
               ↓
    水で薄めたシンプルグリーンに一晩浸ける。
               ↓
    電動歯ブラシにシンプルグリーンをつけて磨き洗う。
               ↓
    電動歯ブラシにジョイ+ジフをつけて磨き洗う。

 歯ブラシが入り込めない部分は綿棒を使います。



 左は洗い終えたパーツ。





b 調色
 本来、調色はもっと後でもいいのですが、
個人的に好きな作業の一つなのでいつも早い段階で調色しています。
調色は終わったのに原型製作が挫折したアイテムもあるのは内緒です。

 できた色は白いプラ板に調色スティックで塗ってみます。
塗装パターンで隣りあった色を同様に再現し調和しているかを確認し、
室内灯だけでなく太陽光でも色の見え方の確認をしたら調色完了です。
c 気泡埋め
 レジンキャストパーツの気泡埋めも、
ポリパテ原型の気泡埋めと同様です。

 前面は気泡があまりなかったので楽。
 背面は、
前面に気泡が出ないようにシリコーンゴム型を作った分、
気泡が多め。

 気泡を埋めたポリパテが完全硬化したら、
耐水ペーパーできれいに仕上げます。
 くちばし先端付近の気泡による欠け(4つ上の写真参照)は、
ポリパテでは不安だったので、
瞬間接着剤とベビーパウダーを混ぜたもので埋めています。
d サフ吹き
 ここもポリパテ原型と同様で、
サフ吹き、残った気泡埋め、仕上げのサフ吹きの手順です。

 仕上げのサフ吹きの前にスミ入れする部分をケガキ針で彫り直しておくと、
後でスミ入れの作業が楽になります。
 このようにあらかじめ接着しても差し支えないパーツは、
サフ吹き前に接着します。
e 塗装
 普通にエアブラシで塗装。

 隠ぺい力の弱い色を塗装する場合は下地に白を塗りますが、
これはいきなり塗装。
 マスキング。

 マスキングテープの端は爪楊枝で丁寧に押さえます。
 別の色を塗装後、
マスキングテープをはがして問題なければ塗装完了。

 問題あれば筆で修整します。

 マスキングの境界線が荒れていた場合は、
綿棒にペトロールをつけて軽くこするときれいになります。
ただし、やり過ぎると色がはがれてしまうので、
力加減に注意が必要です。
 残りのパーツも塗装完了。

 テカテカ光沢なのは後でデカールを貼るので、
デカールが定着しやすいように光沢の色メインで調色したからです。
つや消しだと塗装面とデカールの間に微細な空気が残り、
キラキラ光を反射してしまうシルバリングという現象が起きやすくなります。
また、スミ入れも光沢のほうがきれいにふき取れるとか利点が多いので、
つやは最後に消すのがベターです。
f スミ入れとフィルタリング
 スミ入れはタミヤエナメルの黒を使っています。

 希釈やふき取りにはターペンタインやペトロールを使っています。
今回はターペンタインを使用しましたが両者に大きな差はありません。
 余分な塗料をふき取るのは先の尖った綿棒が便利です。
汚れたらすぐに交換する必要があるので大量に消費します。

 写真はよく使っている100円ショップの尖った綿棒。
これのすぐ横にも何種類も綿棒を売っているので、
どれかが気に入ると思います。

 買い物カゴにこれを5パックくらい入れてレジに向かうのは、
ちょっとした試練です。
 スミ入れ前。
 スミ入れ後。

 綿棒でふき取りすぎた部分やエナメルが乗りにくい部分は、
コピックモデラー0.02やコピックマルチライナー0.03で修整しています。
はみ出したコピックはすぐにターペンタインでふき取ります。
 スミ入れ終了後に油絵の具のバーントアンバーでフィルタリング。

 グラデーション塗装をしていないので、
面が単調に見えてしまうのを回避するために、
場所によって色調が少し異なるようにしています。

 1/35スケールであればもっとハッキリわかる感じでもいいのですが、
これは1/144なのでかなり微妙。
g デカール貼り
 デカールを貼る場所にMr.マークセッターを塗り、
デカールを貼り爪楊枝や綿棒で位置を決め、
綿棒で水分を吸収しつつ気泡を追い出します。
 うまく馴染まない場合は、
デカールの上から再びマークセッターを塗り馴染ませます。

 マークセッターにはデカールを柔らかくする成分が入っているので、
位置決めを手早く済ませるのが鉄則です。
もたもたして動かすとデカールが溶けて歪みます。
h クリアーコート
 クリアーコートはデカールを1日乾燥させてからが模型誌推奨ですが、
私はシルバリングが恐いので乾燥したと判断したらすぐコートしています。
ただし、早すぎるとデカール表面に小さな気泡ができてしまいます。

 いきなりMr.スーパークリアー缶スプレーを厚く吹くと、
デカールとスミ入れがダメに場合もあるので、
まずエアブラシでMr.カラー46番のクリアーを吹きます。
デカールを痛めないようにサッと軽く吹いたら、
空気だけを吹いて一気に乾燥させます。
これを数回繰り返しデカールをコートします。
 スミ入れ部分もクリアーで軽くコートしておくと、
仕上げの缶スプレーでのクリアーコートで滲まなくなります。

 写真はエアブラシでのクリアーコート前と後。

 エアブラシで吹いたクリアーが乾燥したら、
デカール部分の段差を緩やかにするために、
Mr.スーパークリアー缶スプレー光沢を吹きます。

 カーモデル等、光沢仕上げにする場合は、
乾燥後に耐水ペーパーで水研ぎしますが、
これはつや消しにするのでこのまま乾燥させるだけです。
つや消しにすると少々の段差はわからなくなります。

 ただし、ひどい段差やホコリがあった場合は水研ぎします。
 仕上げにMr.スーパークリアー缶スプレーつや消しを吹きます。

 つやを消すとやや白っぽくなります。
i ウェザリング
 ウェザリングはデリケートなため触りすぎるとはがれてしまうので、
ウェザリング前に接着する部分の塗装をツールクリーナーではがします。
 ハゲチョロ塗装(チッピング)はタミヤエナメルのチタンシルバー。

 失敗してふき取ろうとしても銀色の粒子が残る場合、
Mr.カラー182番スーパークリアーつや消しを吹くと目立たなくなります。
 ハゲチョロ塗装を終えたら接着します。
接着は、すぐに接着したい場所はゼリー状瞬間接着剤、
股関節とかの時間の余裕が欲しい場所はエポキシ接着剤を使っています。
これの場合、足首の固定は原型製作時に述べたようにエポキシパテです。

 瞬間接着剤を使用した周囲に白い結晶が発生した場合も、
綿棒にペトロールをつけて軽くこするときれいになります。

 接着時にはがれたハゲチョロ塗装を修復後、
タミヤウェザリングマスターを筆でこすりつけてウェザリング完了。
j 完成

ハゲチョロ塗装がギラギラしすぎた部分やウェザリングマスターが大げさになった部分に、
Mr.カラー182番スーパークリアーつや消しを吹いたら完成!


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